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たちばな庵

二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。

カテゴリー「QED(ドラマ版)」の記事一覧

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【7話妄想】1

 可奈は空を見上げた。
 どこへ行くのだろう、飛行機が飛んでいく。

 ……いつか、燈馬君も――。

 そんなことを思っていると、隣を歩いていたはずの想がいない。
「燈馬君、待って、待ってよ~」
 先を歩いていた想が立ち止まり、振り返る。
「水原さん、何やってるんですか。置いてっちゃいますよ!」
「置いてってから言わないでよ」
 可奈はようやく追いついた想の肩を押した。
「置いてかないでよ」
「ちゃんと待ったじゃないですか」
 可奈はもう1度拳を振り上げた。
 想がよける素振りを見せるが、可奈はその手で想の制服をつかんだ。
「置いてかないで」
 想の顔を覗きこむと、その顔に「?」が浮かんでいる。
「水原さん?」
「黙って置いていかないで」
「……? はい」
「約束だよ」
 可奈はようやく笑顔を見せた。


□あとがき□
 7話のラスト、可奈ちゃんの「待って」に立ち止まらない燈馬君に不安を感じて書いたSSでした。

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【6話妄想】2

 衝立の向こうから、規則正しい寝息が聞こえる。
 塔場は寝つけず、身を起こした。
 衝立をずらすと、可奈がすやすやと眠っている。
 ――不思議な少女だ。
 未来から来たというその少女は、出会いも服装も言動も奇妙なものだった。
 しかし、いつの間にか明るい笑顔と行動力に引き込まれている自分を感じている。

 そっと可奈の頭に手をやる。
 当たり前だけれど、すっぽりと手中に収まるのは初対面のときと同じだ。
 その小ささに改めて感心してしまう。
 と、可奈が身じろぎした。
「ん……とう……」
 どきりとした。
 思わず彼女の頬をなでる。
「とうまくん……ただいま……」
 にっこり笑う彼女に、手が強張った。
 手を引っ込めて衝立を元に戻し、再び布団に入った。

 明日、彼女は未来に帰ってしまう。
 ――帰って欲しくない。
 その気持ちを告げたら彼女はどうするだろうか。
 いや。
 明日、自分には羊子の誘拐犯を対峙し、龍門寺家の謎を解く使命がある。
 可奈の温もりの残る手を見つめた。

 ――明日、彼女は未来に帰ってしまう。

 塔場は手を握り締め、目を閉じた。

 ――今夜は眠れそうにない。

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【6話妄想】1

 可奈は、想の部屋に入るなり右手を出した。

「燈馬君、携帯貸して」
「どうぞ。忘れたんですか?」
「んーん。ほら、この間、天真爛丸さん家でなくしちゃったでしょ?結局出てこなかったから買い直したんだよ~。父さんにめっちゃ怒られてさ。しばらくお小遣いカットだよ。ツイてない。
 はい。これ、私の新しい番号とメアド。登録しといたから。あと、燈馬君から私宛にワン切りとメール送信させてもらったよ。登録しとくね。ここに来る途中でショップに寄ったから、燈馬君メモリ1番だよ」
「これから知り合い全部の人に番号確認するんですか!?」
「しょうがないじゃん、全部携帯に入れてたんだもん。覚えてるわけないし」
「……バックアップって知ってます?」
「今度から取ります。もー、言うのやめてよ。めんどくさいのはわかってるって。
 残しておきたい写真もあったのになあ。燈馬君、私がタイムスリップしたって話、信じてくれないんだもん。あっちの世界で撮った写真もあったのに」
「まだ言ってるんですか」
「ねー、『塔場』さんて、燈馬君のご先祖じゃないの?」
「違います。ほら、宿題に集中してください。ノート開いて」
「はぁい」

 可奈は携帯をカバンにしまい、宿題にとりかかったのだった。

□あとがき□
 別ジャンルの某サイト様で「浮気の見分け方」というネタ(?)がありまして。
 彼女(または彼氏)からの「携帯貸して」に断ったりうろたえたりしたら怪しい、んだそうです。
 燈馬君は個人情報の入っているものをホイホイ人に貸したりしなさそうですが、そこは
「可奈ちゃん」だから「必要以外のところは見ない」と信頼してる とか
「メモリにはロックをかけてる」(こっちの方がありえる…) とか
 いろいろ考えていただけると助かります(人任せか)。

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【5話妄想】1

「燈馬、お前、ずっと水原の後にくっついてんな」
 放課後。
 帰る準備をしているところへ、声をかけられた。
 顔を上げると、クラスメイトの青山が立っていた。
「知ってるか? そういうの、日本では『金魚のフン』て言うんだぜ」
 想が無言でいると、青山はどんどん話を続ける。
「体力バカの水原と天才君なんてお似合いじゃねえか。渚幸代のストーカーも水原が追い払ったんだろ? やっぱ勉強ばっかしてるヤツは弱っちいねえ」
「……」
「何とか言えよ」
「水原さんを好きなら好きと、本人に言わないとわかりませんよ」
 途端、青山の顔にさっと朱が差した。
「な……っ! ばっかじゃねえの、何言ってんの、お前! 何で俺があんな……!」

「お待たせー、燈馬君。帰ろっ。……どうしたの?」
 用を済ませた可奈が戻ってきた。
「……何でもねえよ」
 青山はそう言って、周りの椅子を蹴飛ばしながら去っていった。
「ちょっと、椅子戻していきなさいよ! ……何あれ。何で荒れてんの?」
「さあ。何でしょうね。さ、行きましょう。今日も笠山刑事が待ってますよ」
「ええーっ! もういいじゃん、帰りたいよ!」
「……呼ばれないときは首突っ込むくせに」
「何か言った?」
「いえ、別に。さ、行きましょう」
「燈馬君さあ、妙にやる気じゃない?」
「そうですか?」

 想は、背中に視線を感じながら可奈と教室を出た。
 可奈が彼の恋心に気づくのはいつの日か。
 ……想には関係のないことのはずなのに、胸がざわめくのを感じていた。

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【4話妄想】1

「美味し~い!」
「それは良かったです」
 可奈が、ローストビーフを口いっぱに頬張る。
「燈馬君、それ、もう食べないの? だったらちょうだい♪」
「どうぞ」
 想が皿を押しやると、可奈が早々に手を伸ばしてきた。
 ふと視線を外すと、ガラスに、嬉しそうに口を動かす可奈と、それを頬杖をついて眺めている自分が映っている。
 その姿が、若い女の子に食事をさせている中年男のように見えて、想は何となく姿勢を正した。

「何かさー、いろいろと、ごめんね?」
「何がですか?」
「お節介した上にご飯までおごってもらっちゃって。…でも、燈馬君が本音を言ってくれて、嬉しかった」
 ロキさんと仲直りできて良かったね、と可奈は笑う。
「水原さんのおかげです」
「え?」
「水原さんがいなかったら、僕が空を飛ぶことも、ロキに本音を話すこともなかった」
「そうかな」
「まあ、お節介が過ぎることも多々ありますけどねぇ」
「ちょっと、何よそれ!」
 ひとしきり笑った後、想は声を低めた。
「ロキは、ああ見えてものすごくイタズラ者なんです。水原さん、ロキに蹴りを入れた上に殺人未遂容疑をかけましたよね。きっと、近いうちに仕返しにきますよ」
「……げ。マジ?」
「マジです」
 神妙に頷いてみせると、可奈は手を止めた。
「天才ってどんなイタズラするんだろ。太刀打ちできるかな」
「……対抗する気でいるんですか」
「燈馬君は私の味方でしょ? ロキさんの傾向と対策、教えてよ」
「さあ? 僕はどっちの味方でもありませんから」
「裏切り者ー!」
「もう食べないんですか? なら、返してもらいますよ」
「それはダメ!」
 可奈の気を逸らせて、想は空を見上げた。
 そこには、アメリカへ帰った親友の顔が浮かんでいた。

□あとがき□
 確か、こんな感じだった(苦笑)。
 とにかく「ローストビーフを幸せそうに食べる可奈ちゃん」と「それを見ている自分を客観的に見て我に返る燈馬君」が書きたかったのです(笑)。
 あ、あと「ロキがイタズラ好きで、近く日本に来るかも?」ってことも。

 可奈ちゃんのお行儀が悪いですが、食べ物をシェアできるって、重要ですよね!(力説)

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