たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
4巻 別居後
- 2012/12/30 (Sun)
- キス早 |
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別居生活も今日で終わり。
私と鉄兵は、先生と同じ布団で眠った。
久しぶりの「川の字」。
先生の腕。先生の匂い――気分が昂ぶっているのか、なかなか寝つけない……。
「眠れない?」
暗闇の中、密やかに聞こえた先生の声。
私も小声で返す。
「うん……。ごめん、起こしちゃった?」
「寝られるわけないでしょ。やっと可愛い奥さんとその弟くんが帰ってきたのに」
私は赤くなった。
耳元で囁かれる声――離れている期間があっただけに、クるものがある。
悶々としていると、先生が私の手を取った。
「匂い」
「え?」
「やっと、僕と同じ匂いに戻ったね」
手に、先生の唇を感じる――ツン、と、鼻の奥が痛くなった。
「ふ……っ、う……っく」
「文乃さん? どうしたの?」
先生の手が、私のほっぺに流れる涙を拭う。
「わかんな……っ、やだな、何か、先生といると涙腺が緩んじゃう……」
先生のところに来てから、私は泣き虫になった。
前は、泣くことなんて滅多になかったのに。
両親が死んでから、鉄兵が私の全てだった。
鉄兵を守ることだけ考えてた。
それなのに。
別居の間、鉄兵は変わらずそばにいたのに――毎日寂しかった。
何でだろう?
ふふ、と先生の笑う声が聞こえた。
「僕は嬉しいですよ」
「なっ……にがっ」
先生は、鉄兵ごと私を抱き寄せる。
「君が僕の前で泣くのは、僕を信頼して甘えてくれているからでしょう?
――1年前、君の瞳は氷に覆われてるように見えた。それが、今はたくさんの表情を見せてくれる。
笑顔も泣き顔も照れてる顔も――もっともっと見せてください?」
先生の言葉に、涙が後から後から溢れてくる。
思わず顔を覆った私の手を、先生は開かせた。
暗闇に慣れた目が、先生の顔を映す。
――先生の瞳に、私が映ってる――。
心臓が、トクンと鳴った。
先生の顔が私に近づいて、私は目蓋を閉じる――。
「……ブンちゃ……まーぁくん」
と、鉄兵が呟いた。
きゃ、起きちゃった!?
見ると、鉄兵は目を閉じてくふふ、と笑っている。
寝言か……。
ほっとして先生と目を見合わせ、2人で小さく噴き出した。
先生は私のおでこにちゅっとキスをして、鉄兵と私をぎゅっと抱きしめた。
「僕を、『大事な人』に入れてくれてありがとう」
「……うん」
「僕の前では我慢しないで。僕に甘えて。――守らせて」
「うん」
温かな、先生の腕の中。
――その日は数日ぶりに、ぐっすり眠ることができた。
□あとがき□
けれど先生は逆に眠れない、と(笑)。
私と鉄兵は、先生と同じ布団で眠った。
久しぶりの「川の字」。
先生の腕。先生の匂い――気分が昂ぶっているのか、なかなか寝つけない……。
「眠れない?」
暗闇の中、密やかに聞こえた先生の声。
私も小声で返す。
「うん……。ごめん、起こしちゃった?」
「寝られるわけないでしょ。やっと可愛い奥さんとその弟くんが帰ってきたのに」
私は赤くなった。
耳元で囁かれる声――離れている期間があっただけに、クるものがある。
悶々としていると、先生が私の手を取った。
「匂い」
「え?」
「やっと、僕と同じ匂いに戻ったね」
手に、先生の唇を感じる――ツン、と、鼻の奥が痛くなった。
「ふ……っ、う……っく」
「文乃さん? どうしたの?」
先生の手が、私のほっぺに流れる涙を拭う。
「わかんな……っ、やだな、何か、先生といると涙腺が緩んじゃう……」
先生のところに来てから、私は泣き虫になった。
前は、泣くことなんて滅多になかったのに。
両親が死んでから、鉄兵が私の全てだった。
鉄兵を守ることだけ考えてた。
それなのに。
別居の間、鉄兵は変わらずそばにいたのに――毎日寂しかった。
何でだろう?
ふふ、と先生の笑う声が聞こえた。
「僕は嬉しいですよ」
「なっ……にがっ」
先生は、鉄兵ごと私を抱き寄せる。
「君が僕の前で泣くのは、僕を信頼して甘えてくれているからでしょう?
――1年前、君の瞳は氷に覆われてるように見えた。それが、今はたくさんの表情を見せてくれる。
笑顔も泣き顔も照れてる顔も――もっともっと見せてください?」
先生の言葉に、涙が後から後から溢れてくる。
思わず顔を覆った私の手を、先生は開かせた。
暗闇に慣れた目が、先生の顔を映す。
――先生の瞳に、私が映ってる――。
心臓が、トクンと鳴った。
先生の顔が私に近づいて、私は目蓋を閉じる――。
「……ブンちゃ……まーぁくん」
と、鉄兵が呟いた。
きゃ、起きちゃった!?
見ると、鉄兵は目を閉じてくふふ、と笑っている。
寝言か……。
ほっとして先生と目を見合わせ、2人で小さく噴き出した。
先生は私のおでこにちゅっとキスをして、鉄兵と私をぎゅっと抱きしめた。
「僕を、『大事な人』に入れてくれてありがとう」
「……うん」
「僕の前では我慢しないで。僕に甘えて。――守らせて」
「うん」
温かな、先生の腕の中。
――その日は数日ぶりに、ぐっすり眠ることができた。
□あとがき□
けれど先生は逆に眠れない、と(笑)。
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