たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
8巻 記憶喪失後
- 2012/12/30 (Sun)
- キス早 |
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「あたしのことも鉄兵のことも忘れるなんて、最っっ低っ!」
夕方からずーっと。
夕食の時もお風呂に入った後も、ずっと文乃さんは怒っている。
抱きしめたときに「平べったい」と言ったことが原因ではないらしい。
何と僕は、数時間だけ記憶喪失になっていたそうなのだ。
そう言われてみれば、何だか頭がズキズキするような?
けれど全く身に覚えがないから、曖昧に笑って謝るしかない。
それにしても。
高校生時代に戻っていたのか。
それはちょっと……いや、かーなーり恥ずかしい。
「地獄のまーくん」とか言われてイキがってたときだもんなー。
その姿を見せたくなくて卒業アルバムを死守しようとしたのにそれが頭に当たって記憶喪失なんて……本末転倒もいいところだ。
これは、初の長期戦かなー……、なんて思いながら、何度めかの「ごめんなさい」を口にする。
すると、文乃さんに抱っこされていた鉄兵くんが這い出てきて、僕の腕にしがみついた。
「ブンちゃ、そんなにおこっちゃダメ! まーくん、いつもとおんなじだったでしょ? ブンちゃにわらってって、いってたでしょ?」
途端に、文乃さんの顔がぼっと赤くなる。
……ん? なぜここで赤くなる?
何だか面白くなくて、文乃さんの肩に手を置くと、あからさまにビクリと反応した。
視線を合わせようとすると、文乃さんはふんっ、と横を向いて、「先生は昔っから巨乳好きだったんだね! ごめんね、胸なくて!」と叫んだ。
――胸?
何で高校時代の僕が、文乃さんの胸が小さいことを知ってるの?
「文乃さん」
少し怒った声で呼ぶと、文乃さんがちらりとこちらを見た。
「な、何よ……怒ってるのはあたしの方なんだからね!」
「文乃さん。昼間の僕と何があったの?」
「え?」
「少なくとも、胸に触るような接触はあったってことだよね?」
――あ、嫌なことを思い出した。
「そういえば文乃さん、昔の僕を『クール』って言ってたっけ。今よりも、昔の僕の方が好み?」
文乃さんの腕をとって近づくと、文乃さんは真っ赤になって顔を背けた。
「ちょ……ちょっと、先生! 自分で自分にヤキモチ焼いてどーすんの!」
――なっ……ヤキモチ!?
思わず、動きを止めた。
「先生?」
手を緩めた僕を、文乃さんが覗き込む。
――顔が熱い。
僕は口を手で覆った。
「先生、もしかして、自覚なかったの?」
う……。
文乃さんは、真っ赤になって何も言えない僕にふわりと抱きついた。
「バカね。どっちも好みに決まってるでしょ。
先生、あたし達と初対面なのに本気で心配してくれてたよ? 先生は根っこから優しいんだから」
「文乃さん……」
結局、過去の僕と何があったのかもわからないまま。
――でもまあ、いっか。過去でも今でも、僕は僕なんだから。
今は文乃さんの愛情と鼓動を感じていよう――。
ドスっ。
「――っ!?」
僕が感動しながら文乃さんを抱きしめていると、腹に衝撃が走った。
思わず咳き込むと、再び文乃さんから怒りのオーラが――。
「でも。あたしのことを『うるさい女』って言ったことはまだ怒ってるんだからね!」
文乃さんは、びしっと僕に指を突きつけた。
「罰として、今日は先生の布団で3人一緒に寝ます!」
僕は首をかしげた。
――逆じゃないの? 「しばらく一緒に寝るの禁止」では?
「狭くてもガマンして。一晩一緒にいて、嫌でもあたしたちのこと忘れられないようにしてやる!
また今度忘れたりしたら、ほんっとに許さないからねっ!」
そんな嬉しいこと――ちっとも罰じゃないよ?
僕は、にやけた顔を見られないよう、文乃さんと鉄兵くんを抱き寄せた。
夕方からずーっと。
夕食の時もお風呂に入った後も、ずっと文乃さんは怒っている。
抱きしめたときに「平べったい」と言ったことが原因ではないらしい。
何と僕は、数時間だけ記憶喪失になっていたそうなのだ。
そう言われてみれば、何だか頭がズキズキするような?
けれど全く身に覚えがないから、曖昧に笑って謝るしかない。
それにしても。
高校生時代に戻っていたのか。
それはちょっと……いや、かーなーり恥ずかしい。
「地獄のまーくん」とか言われてイキがってたときだもんなー。
その姿を見せたくなくて卒業アルバムを死守しようとしたのにそれが頭に当たって記憶喪失なんて……本末転倒もいいところだ。
これは、初の長期戦かなー……、なんて思いながら、何度めかの「ごめんなさい」を口にする。
すると、文乃さんに抱っこされていた鉄兵くんが這い出てきて、僕の腕にしがみついた。
「ブンちゃ、そんなにおこっちゃダメ! まーくん、いつもとおんなじだったでしょ? ブンちゃにわらってって、いってたでしょ?」
途端に、文乃さんの顔がぼっと赤くなる。
……ん? なぜここで赤くなる?
何だか面白くなくて、文乃さんの肩に手を置くと、あからさまにビクリと反応した。
視線を合わせようとすると、文乃さんはふんっ、と横を向いて、「先生は昔っから巨乳好きだったんだね! ごめんね、胸なくて!」と叫んだ。
――胸?
何で高校時代の僕が、文乃さんの胸が小さいことを知ってるの?
「文乃さん」
少し怒った声で呼ぶと、文乃さんがちらりとこちらを見た。
「な、何よ……怒ってるのはあたしの方なんだからね!」
「文乃さん。昼間の僕と何があったの?」
「え?」
「少なくとも、胸に触るような接触はあったってことだよね?」
――あ、嫌なことを思い出した。
「そういえば文乃さん、昔の僕を『クール』って言ってたっけ。今よりも、昔の僕の方が好み?」
文乃さんの腕をとって近づくと、文乃さんは真っ赤になって顔を背けた。
「ちょ……ちょっと、先生! 自分で自分にヤキモチ焼いてどーすんの!」
――なっ……ヤキモチ!?
思わず、動きを止めた。
「先生?」
手を緩めた僕を、文乃さんが覗き込む。
――顔が熱い。
僕は口を手で覆った。
「先生、もしかして、自覚なかったの?」
う……。
文乃さんは、真っ赤になって何も言えない僕にふわりと抱きついた。
「バカね。どっちも好みに決まってるでしょ。
先生、あたし達と初対面なのに本気で心配してくれてたよ? 先生は根っこから優しいんだから」
「文乃さん……」
結局、過去の僕と何があったのかもわからないまま。
――でもまあ、いっか。過去でも今でも、僕は僕なんだから。
今は文乃さんの愛情と鼓動を感じていよう――。
ドスっ。
「――っ!?」
僕が感動しながら文乃さんを抱きしめていると、腹に衝撃が走った。
思わず咳き込むと、再び文乃さんから怒りのオーラが――。
「でも。あたしのことを『うるさい女』って言ったことはまだ怒ってるんだからね!」
文乃さんは、びしっと僕に指を突きつけた。
「罰として、今日は先生の布団で3人一緒に寝ます!」
僕は首をかしげた。
――逆じゃないの? 「しばらく一緒に寝るの禁止」では?
「狭くてもガマンして。一晩一緒にいて、嫌でもあたしたちのこと忘れられないようにしてやる!
また今度忘れたりしたら、ほんっとに許さないからねっ!」
そんな嬉しいこと――ちっとも罰じゃないよ?
僕は、にやけた顔を見られないよう、文乃さんと鉄兵くんを抱き寄せた。
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