たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
初デート
卒業式から数日後。
先生と私はショッピングモールへ買い物に来ていた。
初めて、堂々と、2人きりで!
入学式で着るスーツや鉄兵の服、それから美留ちゃんへのプレゼントを買ったり、レストラン街で食事をしたり。
見知った顔を見つけて慌てて隠れて、先生と顔を見合わせて笑った。
――もう、秘密にしなくて良いんだ。
夕方近くになってそろそろ帰ろうかというとき、先生が宝石店の前で足を止めた。
「先生?」
先生が入ろうとするので、つないでいた手に力を込めた。
目線で何を買うのか問うと、「指輪を買おう」なんて答えが返ってきた。
「指輪!?」
「この結婚指輪は勢いで買った安物だからね。婚約指輪も僕が勝手に用意したものだし。結婚指輪を買い直そう。一緒に選ぼう?」
「何言ってんの、十分だよ!」
「まあまあ、お祝いってことで」
「お祝いならパソコンもらったよ!」
「いいから、ホラ」
「やだ……っ!」
思わず先生の手を振り払った。
遠巻きに「ケンカ?」といったざわついた声が聞こえてきて、先生が「こっちへ」と目立たない通路脇へと私を導いた。
「文乃さん?」
「やだ……やだよ。
先生が私をしばるって買ってくれたものじゃん。なくしちゃったときは鉄兵が探してくれて、海に落ちそうになった私と鉄兵を助けてくれたじゃん。先生、この指輪に誓いのキスしてくれたじゃん……!
この指輪じゃなきゃやだ……!」
――少しの沈黙の後、先生がふわりと頭を撫でてくれた。
「うん……わかった。――大切にしてくれてありがとう」
私はあふれる涙をふきながら、何度も頷く。
――耳元で、先生の悪戯っぽい声が聞こえた。
「ほんとはすっげー抱きしめたいけど、人前だから、後でね」
「な……っ」
「今日はもう帰ろう?」
「……うん」
先生は私の手を取って歩き始めた。
「今度来たときは、指輪をクリーニングしてもらおうね」
「うん」
先生の指が、私の指輪をするりと撫でた。
先生と私はショッピングモールへ買い物に来ていた。
初めて、堂々と、2人きりで!
入学式で着るスーツや鉄兵の服、それから美留ちゃんへのプレゼントを買ったり、レストラン街で食事をしたり。
見知った顔を見つけて慌てて隠れて、先生と顔を見合わせて笑った。
――もう、秘密にしなくて良いんだ。
夕方近くになってそろそろ帰ろうかというとき、先生が宝石店の前で足を止めた。
「先生?」
先生が入ろうとするので、つないでいた手に力を込めた。
目線で何を買うのか問うと、「指輪を買おう」なんて答えが返ってきた。
「指輪!?」
「この結婚指輪は勢いで買った安物だからね。婚約指輪も僕が勝手に用意したものだし。結婚指輪を買い直そう。一緒に選ぼう?」
「何言ってんの、十分だよ!」
「まあまあ、お祝いってことで」
「お祝いならパソコンもらったよ!」
「いいから、ホラ」
「やだ……っ!」
思わず先生の手を振り払った。
遠巻きに「ケンカ?」といったざわついた声が聞こえてきて、先生が「こっちへ」と目立たない通路脇へと私を導いた。
「文乃さん?」
「やだ……やだよ。
先生が私をしばるって買ってくれたものじゃん。なくしちゃったときは鉄兵が探してくれて、海に落ちそうになった私と鉄兵を助けてくれたじゃん。先生、この指輪に誓いのキスしてくれたじゃん……!
この指輪じゃなきゃやだ……!」
――少しの沈黙の後、先生がふわりと頭を撫でてくれた。
「うん……わかった。――大切にしてくれてありがとう」
私はあふれる涙をふきながら、何度も頷く。
――耳元で、先生の悪戯っぽい声が聞こえた。
「ほんとはすっげー抱きしめたいけど、人前だから、後でね」
「な……っ」
「今日はもう帰ろう?」
「……うん」
先生は私の手を取って歩き始めた。
「今度来たときは、指輪をクリーニングしてもらおうね」
「うん」
先生の指が、私の指輪をするりと撫でた。
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