たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
【2話妄想】2
- 2012/12/30 (Sun)
- QED(ドラマ版) |
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放課後。
だいぶ陽が短くなって肌寒さが増してきた。
「ね、今度、お弁当作ってあげるね」
「また唐突に。大丈夫ですから」
おざなりな返答に、可奈は想の前に回りこみ、その顔を見上げた。
「何で。今日もパンだったじゃない。体によくないよ。どうせ自炊なんかしてないんでしょ?」
「今度今度って、具体的な日にちを言ったことないじゃないですか。作ってきてくれたこともないですし」
一息に言われて、可奈は瞬いた。
想は少し目を見開いて視線をそらせる。
頬が、心なしか染まっているような気がする。
「あれあれ~?」
「……何ですか」
「もしかして、拗ねてるの?」
「何を言ってるんですか」
踵を上げて覗きこむと、想が半身を反らして逃げる。可奈も負けじと更に追いかけた。
何度か顔だけの追いかけっこを繰り返して、可奈は小指を差し出した。
「じゃあ、明日! 明日、お弁当作ってきてあげる。約束!」
勢いに押されて、想もおずおずを小指を出す。
可奈は間髪入れず捕まえて、強引に「指切りげんまん」を成立させた。
「今日はスーパー寄ってくからここで。じゃ、明日ね。バイバイ!」
可奈は走ってスーパーへと向かった。
後には、自分の小指を呆然と見つめる想が立ち尽くしていた。
□あとがき□
今週のQED、10分遅れで見始めたら2人が土手を歩いていて、可奈ちゃんが「今度お弁当作ってあげる」と言っているところでした。
ラストの方でも同じセリフがありましたね。
その唐突さにインパクトがあって書いてみました。
だいぶ陽が短くなって肌寒さが増してきた。
「ね、今度、お弁当作ってあげるね」
「また唐突に。大丈夫ですから」
おざなりな返答に、可奈は想の前に回りこみ、その顔を見上げた。
「何で。今日もパンだったじゃない。体によくないよ。どうせ自炊なんかしてないんでしょ?」
「今度今度って、具体的な日にちを言ったことないじゃないですか。作ってきてくれたこともないですし」
一息に言われて、可奈は瞬いた。
想は少し目を見開いて視線をそらせる。
頬が、心なしか染まっているような気がする。
「あれあれ~?」
「……何ですか」
「もしかして、拗ねてるの?」
「何を言ってるんですか」
踵を上げて覗きこむと、想が半身を反らして逃げる。可奈も負けじと更に追いかけた。
何度か顔だけの追いかけっこを繰り返して、可奈は小指を差し出した。
「じゃあ、明日! 明日、お弁当作ってきてあげる。約束!」
勢いに押されて、想もおずおずを小指を出す。
可奈は間髪入れず捕まえて、強引に「指切りげんまん」を成立させた。
「今日はスーパー寄ってくからここで。じゃ、明日ね。バイバイ!」
可奈は走ってスーパーへと向かった。
後には、自分の小指を呆然と見つめる想が立ち尽くしていた。
□あとがき□
今週のQED、10分遅れで見始めたら2人が土手を歩いていて、可奈ちゃんが「今度お弁当作ってあげる」と言っているところでした。
ラストの方でも同じセリフがありましたね。
その唐突さにインパクトがあって書いてみました。
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【2話妄想】1
- 2012/12/30 (Sun)
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隣の部屋では、容疑者3名の事情聴取が順に行われている。
鈴子が大切にしていた人形を売ったと知って、可奈が声を上げた。
「おばさんからプレゼントされた人形は、何があっても売らないって言ってたのに……!」
「しっ」
想は咄嗟に可奈の口をふさいだ。
隠れているのがバレたら、話の続きが聞けなくなる。
――3人の話が食い違っていることが気に入らない。
思考に集中し始めたとき、胸の中で何かが動いた。
見ると、可奈が「んーっんーっ」と暴れている。
「す、すみません」
慌てて離すと、可奈は胸に手を当てて深呼吸を繰り返した。
「何すんのよっ。そんな大きな手で口ふさいだら、鼻まですっぽりだよ。殺す気!?」
「すみません」
想は謝りながら、ついさっきまであった感触を思い出していた。
超人的な運動神経からは想像できない、華奢で小さな体。
「少女」を感じさせるような――。
「お願い、燈馬君。鈴姉ちゃんを助けて!」
事件に関わる気などなかった。
けれど。
――この瞳に抗えない――。
想は、可奈の瞳を受け止めた。
□あとがき□
ドラマ版は身長が違うので、当然、手も大きいんだろうな。
「しっ」のところは「自分の口に自分の指を当てる」のではなく、可奈ちゃんの口ふさいで欲しかったー!という妄想。
そう言えば、「3人の話が違うのが気に入らないだけです」とニッコリ笑うシーンがなかったですね。
話の流れからないのは理解できるのですが、でもやっぱり残念…。
鈴姉ちゃん他3名は「容疑者」ではないんでしたっけ? 違ったらすみません;
鈴子が大切にしていた人形を売ったと知って、可奈が声を上げた。
「おばさんからプレゼントされた人形は、何があっても売らないって言ってたのに……!」
「しっ」
想は咄嗟に可奈の口をふさいだ。
隠れているのがバレたら、話の続きが聞けなくなる。
――3人の話が食い違っていることが気に入らない。
思考に集中し始めたとき、胸の中で何かが動いた。
見ると、可奈が「んーっんーっ」と暴れている。
「す、すみません」
慌てて離すと、可奈は胸に手を当てて深呼吸を繰り返した。
「何すんのよっ。そんな大きな手で口ふさいだら、鼻まですっぽりだよ。殺す気!?」
「すみません」
想は謝りながら、ついさっきまであった感触を思い出していた。
超人的な運動神経からは想像できない、華奢で小さな体。
「少女」を感じさせるような――。
「お願い、燈馬君。鈴姉ちゃんを助けて!」
事件に関わる気などなかった。
けれど。
――この瞳に抗えない――。
想は、可奈の瞳を受け止めた。
□あとがき□
ドラマ版は身長が違うので、当然、手も大きいんだろうな。
「しっ」のところは「自分の口に自分の指を当てる」のではなく、可奈ちゃんの口ふさいで欲しかったー!という妄想。
そう言えば、「3人の話が違うのが気に入らないだけです」とニッコリ笑うシーンがなかったですね。
話の流れからないのは理解できるのですが、でもやっぱり残念…。
鈴姉ちゃん他3名は「容疑者」ではないんでしたっけ? 違ったらすみません;
41巻 「バルキアの特使」行間
- 2012/12/30 (Sun)
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トントン。
「はぁーい」
可奈が勢いよくドアを開けると、その先には心底呆れた顔をした想が立っていた。
「…水原さん。お願いですから不用意にドアを開けないでください。昼間、街を見たでしょう」
「だーいじょうぶ」
だって、という可奈の言葉が銃声にかき消された。
――そんなに遠くない。
「今までと同じに考えないでください。絶対に1人では行動しないように。――いいですね」
いつにない念の押しように、可奈は無言で頷く。
その様子を見て、想はようやく部屋へ入ってきた。
「僕の部屋は隣です。出かけるときも僕かアルが迎えに来ますから、それまで部屋を出ないでくださいね」
「わかったわかった」
「――で、警部は何と?」
「父さんは家にいなかった。母さんは『帰ってくる前にまた連絡しなさい』って」
「……どこにいるか、言いましたか?」
「もちろん。燈馬くんと一緒だってことも言ったよ。『あらまあ、気をつけて』だって」
娘が治安の悪い所にいるとわかれば当然、出てくる言葉だろう。
……そう思おう。
「学校には、明日、母さんが連絡してくれるって」
可奈はぼすん、と勢いよくベッドに腰掛けた。
「てかさ、ずるいよ。1人だけ学校休んで海外に来る予定だったなんて」
想は呆れながらも少し笑ってしまう。
可奈は決して鈍感な娘ではないが、コトが大きすぎて理解していないのかもしれない。
けれど、この屈託のなさには救われる。
「明日はオランダに行きますからね。朝食は7時にしましょう」
「え、それも迎えに来るの?」
「当然でしょう」
「もうめんどくさいな! ならいっそ、一緒の部屋の方が良かったんじゃない?」
「なっ……!」
実は、アルが急きょ取り直そうとした部屋はツインだった。
もちろん、想と可奈が「そういう仲」だと思ったからだ。
それを説得し、誤解を解いて2部屋取ってもらったというのに、あっさり何を言うのか。
ナイスアイディア、とでも言いたげな可奈に、想はこれ見よがしに大きなため息をついた。
「何よ」
「水原さんは幸せな人ですね」
「どーいう意味だよ」
「言葉どおりの意味です。
――くれぐれも言いつけは守ってくださいね。守れなければ強制送還です。
パスポートを持ってないことをお忘れなく」
「くっ……!」
「ではお休みなさい」
想はそれだけ言うと、可奈の部屋を出た。
――屈託がないのも問題だ。
□あとがき□
ええ、皆さん、思いましたよねぇ?(笑)
可奈ちゃん、パスポートと着替えはどうしたんだ?
(バルキアには入れても、オランダに入れるのか? そして帰りはどうするの??)
(あの治安状況で可奈ちゃんのような服が買えるのか?)
そして、学校では
「また可奈と燈馬君2人で海外だって」
「何回、婚前旅行するつもりだよ!」
「おいおい~、誰か学生の本分教えてやれよ!」
という会話がなされていることでしょう(笑)。
「はぁーい」
可奈が勢いよくドアを開けると、その先には心底呆れた顔をした想が立っていた。
「…水原さん。お願いですから不用意にドアを開けないでください。昼間、街を見たでしょう」
「だーいじょうぶ」
だって、という可奈の言葉が銃声にかき消された。
――そんなに遠くない。
「今までと同じに考えないでください。絶対に1人では行動しないように。――いいですね」
いつにない念の押しように、可奈は無言で頷く。
その様子を見て、想はようやく部屋へ入ってきた。
「僕の部屋は隣です。出かけるときも僕かアルが迎えに来ますから、それまで部屋を出ないでくださいね」
「わかったわかった」
「――で、警部は何と?」
「父さんは家にいなかった。母さんは『帰ってくる前にまた連絡しなさい』って」
「……どこにいるか、言いましたか?」
「もちろん。燈馬くんと一緒だってことも言ったよ。『あらまあ、気をつけて』だって」
娘が治安の悪い所にいるとわかれば当然、出てくる言葉だろう。
……そう思おう。
「学校には、明日、母さんが連絡してくれるって」
可奈はぼすん、と勢いよくベッドに腰掛けた。
「てかさ、ずるいよ。1人だけ学校休んで海外に来る予定だったなんて」
想は呆れながらも少し笑ってしまう。
可奈は決して鈍感な娘ではないが、コトが大きすぎて理解していないのかもしれない。
けれど、この屈託のなさには救われる。
「明日はオランダに行きますからね。朝食は7時にしましょう」
「え、それも迎えに来るの?」
「当然でしょう」
「もうめんどくさいな! ならいっそ、一緒の部屋の方が良かったんじゃない?」
「なっ……!」
実は、アルが急きょ取り直そうとした部屋はツインだった。
もちろん、想と可奈が「そういう仲」だと思ったからだ。
それを説得し、誤解を解いて2部屋取ってもらったというのに、あっさり何を言うのか。
ナイスアイディア、とでも言いたげな可奈に、想はこれ見よがしに大きなため息をついた。
「何よ」
「水原さんは幸せな人ですね」
「どーいう意味だよ」
「言葉どおりの意味です。
――くれぐれも言いつけは守ってくださいね。守れなければ強制送還です。
パスポートを持ってないことをお忘れなく」
「くっ……!」
「ではお休みなさい」
想はそれだけ言うと、可奈の部屋を出た。
――屈託がないのも問題だ。
□あとがき□
ええ、皆さん、思いましたよねぇ?(笑)
可奈ちゃん、パスポートと着替えはどうしたんだ?
(バルキアには入れても、オランダに入れるのか? そして帰りはどうするの??)
(あの治安状況で可奈ちゃんのような服が買えるのか?)
そして、学校では
「また可奈と燈馬君2人で海外だって」
「何回、婚前旅行するつもりだよ!」
「おいおい~、誰か学生の本分教えてやれよ!」
という会話がなされていることでしょう(笑)。
ポニーテールとシ/ュ/シ/ュ
- 2012/12/30 (Sun)
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ここのところ、可奈は想のマンションに来てはDVDを観ている。
「ポニーテール……風の中~♪ ……っと、こうか。あれ、逆だ」
DVDで流れているのは、南の島の砂浜で踊る水着姿の少女たち。
可奈は、それを練習をしているのだ。
巷で人気のアイドルグループらしいが、当然、想にはわからない。
「ちょっと休憩~」
可奈がそう言ってソファに座り込んだので、想は飲み物を出しながら聞いてみた。
「どうしてその曲をコピーしてるんですか?」
可奈は飲み物を受け取って「ありがとう」と言ってから、理由を説明する。
「今度の『3年生を送る会』の余興なの。髪がショートの子は歌担当で、髪が長い子はポニーテールして踊るんだよ」
「えっ、まさか水着で!?」
可奈が画面を指差すから思わずそう言うと、一瞬驚いた顔を見せ、その後けらけら笑った。
「んなわけないじゃん! 3月の道場だよ? 寒くて踊るどころじゃないよ。制服か道着じゃない?」
「寒くてって……」
――そういう問題じゃないと思うのだが。
と、可奈の携帯電話が鳴った。
「はいはーい。どしたの? 曲? 今も練習してたよ。うん、だいぶ覚えた。
――衣装? 制服か道着でしょ? ええっ!? いやでも、それはちょっと。
わかるけどさあ……」
珍しく、可奈の歯切れが悪い。
可奈は、電話の応対をしながら想をちらりと見た。
「と、とにかく、明日のミーティングで相談しようよ。ね? じゃあ、明日ね。バイバイ」
そう言って、可奈は電話を切った。
可奈の受け答えの返事からして――。
想はため息混じりに「尋問」を始めた。
「剣道部の方ですか?」
「あーうん、そう」
「――その曲の、衣装の相談のようでしたね?」
「……うん。――水着で踊ろうなんて言い出して」
やっぱり。
想は大きく息を吐いた。
「余興が先輩にウケたら、夏の合宿にカンパしてもらえるんだよね。それで張り切っちゃってるみたいで」
「…………」
「あ、でも、まだ決定じゃないよ。明日のミーティングで話し合うことになったから」
「…………」
「通るわけないって。私も反対するしさ」
「…………」
「もーっ! 何なの!」
頬杖をついて無言のまま可奈を見る。
可奈は視線に耐えかねたように机を叩いて立ち上がった。
「言いたいことがあるなら言ったらいいじゃん!」
「別に」
想は姿勢はそのままにそっぽを向いた。
「剣道部の行事ですから、僕が口を出すことではありませんし」
「だったらじっと見るのやめてよ」
「わかりました」
想はそう言って、いつもの席に戻り、パソコンを操作を再開した。
「……何よ」
「何ですか?」
「どうして何も言わないの」
「言うべきことがないからですが?」
「――もういいっ!」
そっけなく返すと、可奈はクッションを投げて拗ねてしまった。
しばらくパソコンに向かう――が、こちらを見ている可奈がずっと目の端に映っている。
前触れなしにパソコンから目を移すと、不意をつかれた可奈と目が合った。
「何ですか?」
「――何が?」
「どうしてこちらを見るんです?」
「別にっ」
今度は可奈がそっぽを向いた。
「そうですか」
視線をパソコンに戻す。
そして、目の端にはこちらを見ている可奈が映る。
「水原さん。僕に言うことがあるんじゃないですか?」
「何を言うのよ」
「さあ、何でしょう」
想はパソコンのモニターから目を離さない。
目の端から可奈が消えた。と思ったら、隣に来ていた。
「水原さん?」
「……っ。水着を着なくていいように、協力してクダサイ」
悔しそうな様が可愛い、なんて思ってしまう。
「水着で踊りたくないのは、寒いから、ですか?」
「そ、そうだよ。風邪ひいちゃったら、しばらく燈馬君のご飯も作れなくなるでしょ? そうなったら困るよね?」
「それなら、ヒーターで道場を暖めておいたらいいんじゃないですか? 春休みだったら、学校の備品も使ってないでしょうから充分な数が集まるでしょう」
「そうじゃなくて!」
「違うんですか?」
座ったまま、可奈を見上げる。
「本当の理由を言ったら、衣装が制服になる方法を教えてあげます」
「~~~~~燈馬君のイジワルっ!」
真っ赤になる可奈に少し笑って、想は次の言葉を待った。
□あとがき□
某人気アイドルの曲をモチーフに。タイトルにスラッシュを入れるという暴挙(念のために、ね)。
PV見るたびに「可奈ちゃんがいそうだ」と思ってしまう(笑)。
「ポニーテール……風の中~♪ ……っと、こうか。あれ、逆だ」
DVDで流れているのは、南の島の砂浜で踊る水着姿の少女たち。
可奈は、それを練習をしているのだ。
巷で人気のアイドルグループらしいが、当然、想にはわからない。
「ちょっと休憩~」
可奈がそう言ってソファに座り込んだので、想は飲み物を出しながら聞いてみた。
「どうしてその曲をコピーしてるんですか?」
可奈は飲み物を受け取って「ありがとう」と言ってから、理由を説明する。
「今度の『3年生を送る会』の余興なの。髪がショートの子は歌担当で、髪が長い子はポニーテールして踊るんだよ」
「えっ、まさか水着で!?」
可奈が画面を指差すから思わずそう言うと、一瞬驚いた顔を見せ、その後けらけら笑った。
「んなわけないじゃん! 3月の道場だよ? 寒くて踊るどころじゃないよ。制服か道着じゃない?」
「寒くてって……」
――そういう問題じゃないと思うのだが。
と、可奈の携帯電話が鳴った。
「はいはーい。どしたの? 曲? 今も練習してたよ。うん、だいぶ覚えた。
――衣装? 制服か道着でしょ? ええっ!? いやでも、それはちょっと。
わかるけどさあ……」
珍しく、可奈の歯切れが悪い。
可奈は、電話の応対をしながら想をちらりと見た。
「と、とにかく、明日のミーティングで相談しようよ。ね? じゃあ、明日ね。バイバイ」
そう言って、可奈は電話を切った。
可奈の受け答えの返事からして――。
想はため息混じりに「尋問」を始めた。
「剣道部の方ですか?」
「あーうん、そう」
「――その曲の、衣装の相談のようでしたね?」
「……うん。――水着で踊ろうなんて言い出して」
やっぱり。
想は大きく息を吐いた。
「余興が先輩にウケたら、夏の合宿にカンパしてもらえるんだよね。それで張り切っちゃってるみたいで」
「…………」
「あ、でも、まだ決定じゃないよ。明日のミーティングで話し合うことになったから」
「…………」
「通るわけないって。私も反対するしさ」
「…………」
「もーっ! 何なの!」
頬杖をついて無言のまま可奈を見る。
可奈は視線に耐えかねたように机を叩いて立ち上がった。
「言いたいことがあるなら言ったらいいじゃん!」
「別に」
想は姿勢はそのままにそっぽを向いた。
「剣道部の行事ですから、僕が口を出すことではありませんし」
「だったらじっと見るのやめてよ」
「わかりました」
想はそう言って、いつもの席に戻り、パソコンを操作を再開した。
「……何よ」
「何ですか?」
「どうして何も言わないの」
「言うべきことがないからですが?」
「――もういいっ!」
そっけなく返すと、可奈はクッションを投げて拗ねてしまった。
しばらくパソコンに向かう――が、こちらを見ている可奈がずっと目の端に映っている。
前触れなしにパソコンから目を移すと、不意をつかれた可奈と目が合った。
「何ですか?」
「――何が?」
「どうしてこちらを見るんです?」
「別にっ」
今度は可奈がそっぽを向いた。
「そうですか」
視線をパソコンに戻す。
そして、目の端にはこちらを見ている可奈が映る。
「水原さん。僕に言うことがあるんじゃないですか?」
「何を言うのよ」
「さあ、何でしょう」
想はパソコンのモニターから目を離さない。
目の端から可奈が消えた。と思ったら、隣に来ていた。
「水原さん?」
「……っ。水着を着なくていいように、協力してクダサイ」
悔しそうな様が可愛い、なんて思ってしまう。
「水着で踊りたくないのは、寒いから、ですか?」
「そ、そうだよ。風邪ひいちゃったら、しばらく燈馬君のご飯も作れなくなるでしょ? そうなったら困るよね?」
「それなら、ヒーターで道場を暖めておいたらいいんじゃないですか? 春休みだったら、学校の備品も使ってないでしょうから充分な数が集まるでしょう」
「そうじゃなくて!」
「違うんですか?」
座ったまま、可奈を見上げる。
「本当の理由を言ったら、衣装が制服になる方法を教えてあげます」
「~~~~~燈馬君のイジワルっ!」
真っ赤になる可奈に少し笑って、想は次の言葉を待った。
□あとがき□
某人気アイドルの曲をモチーフに。タイトルにスラッシュを入れるという暴挙(念のために、ね)。
PV見るたびに「可奈ちゃんがいそうだ」と思ってしまう(笑)。
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