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たちばな庵

二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。

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【2話妄想】2

 放課後。
 だいぶ陽が短くなって肌寒さが増してきた。
「ね、今度、お弁当作ってあげるね」
「また唐突に。大丈夫ですから」
 おざなりな返答に、可奈は想の前に回りこみ、その顔を見上げた。
「何で。今日もパンだったじゃない。体によくないよ。どうせ自炊なんかしてないんでしょ?」
「今度今度って、具体的な日にちを言ったことないじゃないですか。作ってきてくれたこともないですし」
 一息に言われて、可奈は瞬いた。
 想は少し目を見開いて視線をそらせる。
 頬が、心なしか染まっているような気がする。
「あれあれ~?」
「……何ですか」
「もしかして、拗ねてるの?」
「何を言ってるんですか」
 踵を上げて覗きこむと、想が半身を反らして逃げる。可奈も負けじと更に追いかけた。
 何度か顔だけの追いかけっこを繰り返して、可奈は小指を差し出した。
「じゃあ、明日! 明日、お弁当作ってきてあげる。約束!」
 勢いに押されて、想もおずおずを小指を出す。
 可奈は間髪入れず捕まえて、強引に「指切りげんまん」を成立させた。

「今日はスーパー寄ってくからここで。じゃ、明日ね。バイバイ!」
 可奈は走ってスーパーへと向かった。
 後には、自分の小指を呆然と見つめる想が立ち尽くしていた。


□あとがき□
 今週のQED、10分遅れで見始めたら2人が土手を歩いていて、可奈ちゃんが「今度お弁当作ってあげる」と言っているところでした。
 ラストの方でも同じセリフがありましたね。
 その唐突さにインパクトがあって書いてみました。

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【2話妄想】1

 隣の部屋では、容疑者3名の事情聴取が順に行われている。
 鈴子が大切にしていた人形を売ったと知って、可奈が声を上げた。
「おばさんからプレゼントされた人形は、何があっても売らないって言ってたのに……!」
「しっ」
 想は咄嗟に可奈の口をふさいだ。
 隠れているのがバレたら、話の続きが聞けなくなる。
 ――3人の話が食い違っていることが気に入らない。
 思考に集中し始めたとき、胸の中で何かが動いた。
 見ると、可奈が「んーっんーっ」と暴れている。
「す、すみません」
 慌てて離すと、可奈は胸に手を当てて深呼吸を繰り返した。
「何すんのよっ。そんな大きな手で口ふさいだら、鼻まですっぽりだよ。殺す気!?」
「すみません」
 想は謝りながら、ついさっきまであった感触を思い出していた。
 超人的な運動神経からは想像できない、華奢で小さな体。
 「少女」を感じさせるような――。


「お願い、燈馬君。鈴姉ちゃんを助けて!」

 事件に関わる気などなかった。
 けれど。
 ――この瞳に抗えない――。

 想は、可奈の瞳を受け止めた。


□あとがき□
 ドラマ版は身長が違うので、当然、手も大きいんだろうな。
「しっ」のところは「自分の口に自分の指を当てる」のではなく、可奈ちゃんの口ふさいで欲しかったー!という妄想。
 そう言えば、「3人の話が違うのが気に入らないだけです」とニッコリ笑うシーンがなかったですね。
 話の流れからないのは理解できるのですが、でもやっぱり残念…。
 鈴姉ちゃん他3名は「容疑者」ではないんでしたっけ? 違ったらすみません;

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41巻 「バルキアの特使」行間

 トントン。

「はぁーい」

 可奈が勢いよくドアを開けると、その先には心底呆れた顔をした想が立っていた。

「…水原さん。お願いですから不用意にドアを開けないでください。昼間、街を見たでしょう」
「だーいじょうぶ」
 だって、という可奈の言葉が銃声にかき消された。
 
 ――そんなに遠くない。

「今までと同じに考えないでください。絶対に1人では行動しないように。――いいですね」

 いつにない念の押しように、可奈は無言で頷く。

 その様子を見て、想はようやく部屋へ入ってきた。

「僕の部屋は隣です。出かけるときも僕かアルが迎えに来ますから、それまで部屋を出ないでくださいね」
「わかったわかった」

「――で、警部は何と?」
「父さんは家にいなかった。母さんは『帰ってくる前にまた連絡しなさい』って」
「……どこにいるか、言いましたか?」
「もちろん。燈馬くんと一緒だってことも言ったよ。『あらまあ、気をつけて』だって」

 娘が治安の悪い所にいるとわかれば当然、出てくる言葉だろう。
 ……そう思おう。

「学校には、明日、母さんが連絡してくれるって」

 可奈はぼすん、と勢いよくベッドに腰掛けた。

「てかさ、ずるいよ。1人だけ学校休んで海外に来る予定だったなんて」

 想は呆れながらも少し笑ってしまう。
 可奈は決して鈍感な娘ではないが、コトが大きすぎて理解していないのかもしれない。

 けれど、この屈託のなさには救われる。 

「明日はオランダに行きますからね。朝食は7時にしましょう」
「え、それも迎えに来るの?」
「当然でしょう」
「もうめんどくさいな! ならいっそ、一緒の部屋の方が良かったんじゃない?」
「なっ……!」

 実は、アルが急きょ取り直そうとした部屋はツインだった。
 もちろん、想と可奈が「そういう仲」だと思ったからだ。

 それを説得し、誤解を解いて2部屋取ってもらったというのに、あっさり何を言うのか。

 ナイスアイディア、とでも言いたげな可奈に、想はこれ見よがしに大きなため息をついた。

「何よ」
「水原さんは幸せな人ですね」
「どーいう意味だよ」
「言葉どおりの意味です。
 ――くれぐれも言いつけは守ってくださいね。守れなければ強制送還です。
 パスポートを持ってないことをお忘れなく」
「くっ……!」
「ではお休みなさい」

 想はそれだけ言うと、可奈の部屋を出た。

 ――屈託がないのも問題だ。


□あとがき□
 ええ、皆さん、思いましたよねぇ?(笑)
 可奈ちゃん、パスポートと着替えはどうしたんだ?
(バルキアには入れても、オランダに入れるのか? そして帰りはどうするの??)
(あの治安状況で可奈ちゃんのような服が買えるのか?)

 そして、学校では
「また可奈と燈馬君2人で海外だって」
「何回、婚前旅行するつもりだよ!」
「おいおい~、誰か学生の本分教えてやれよ!」
 という会話がなされていることでしょう(笑)。

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ポニーテールとシ/ュ/シ/ュ

 ここのところ、可奈は想のマンションに来てはDVDを観ている。
「ポニーテール……風の中~♪ ……っと、こうか。あれ、逆だ」

 DVDで流れているのは、南の島の砂浜で踊る水着姿の少女たち。
 可奈は、それを練習をしているのだ。

 巷で人気のアイドルグループらしいが、当然、想にはわからない。

「ちょっと休憩~」
 可奈がそう言ってソファに座り込んだので、想は飲み物を出しながら聞いてみた。
「どうしてその曲をコピーしてるんですか?」
 可奈は飲み物を受け取って「ありがとう」と言ってから、理由を説明する。
「今度の『3年生を送る会』の余興なの。髪がショートの子は歌担当で、髪が長い子はポニーテールして踊るんだよ」
「えっ、まさか水着で!?」
 可奈が画面を指差すから思わずそう言うと、一瞬驚いた顔を見せ、その後けらけら笑った。

「んなわけないじゃん! 3月の道場だよ? 寒くて踊るどころじゃないよ。制服か道着じゃない?」
「寒くてって……」
 ――そういう問題じゃないと思うのだが。

 と、可奈の携帯電話が鳴った。

「はいはーい。どしたの? 曲? 今も練習してたよ。うん、だいぶ覚えた。
 ――衣装? 制服か道着でしょ? ええっ!? いやでも、それはちょっと。
 わかるけどさあ……」

 珍しく、可奈の歯切れが悪い。
 可奈は、電話の応対をしながら想をちらりと見た。

「と、とにかく、明日のミーティングで相談しようよ。ね? じゃあ、明日ね。バイバイ」

 そう言って、可奈は電話を切った。

 可奈の受け答えの返事からして――。
 想はため息混じりに「尋問」を始めた。

「剣道部の方ですか?」
「あーうん、そう」
「――その曲の、衣装の相談のようでしたね?」
「……うん。――水着で踊ろうなんて言い出して」

 やっぱり。
 想は大きく息を吐いた。

「余興が先輩にウケたら、夏の合宿にカンパしてもらえるんだよね。それで張り切っちゃってるみたいで」
「…………」
「あ、でも、まだ決定じゃないよ。明日のミーティングで話し合うことになったから」
「…………」
「通るわけないって。私も反対するしさ」
「…………」
「もーっ! 何なの!」

 頬杖をついて無言のまま可奈を見る。
 可奈は視線に耐えかねたように机を叩いて立ち上がった。
「言いたいことがあるなら言ったらいいじゃん!」

「別に」
 想は姿勢はそのままにそっぽを向いた。
「剣道部の行事ですから、僕が口を出すことではありませんし」

「だったらじっと見るのやめてよ」
「わかりました」

 想はそう言って、いつもの席に戻り、パソコンを操作を再開した。

「……何よ」
「何ですか?」
「どうして何も言わないの」
「言うべきことがないからですが?」
「――もういいっ!」

 そっけなく返すと、可奈はクッションを投げて拗ねてしまった。


 しばらくパソコンに向かう――が、こちらを見ている可奈がずっと目の端に映っている。
 前触れなしにパソコンから目を移すと、不意をつかれた可奈と目が合った。
 
「何ですか?」
「――何が?」
「どうしてこちらを見るんです?」
「別にっ」
 今度は可奈がそっぽを向いた。
「そうですか」

 視線をパソコンに戻す。
 そして、目の端にはこちらを見ている可奈が映る。

「水原さん。僕に言うことがあるんじゃないですか?」
「何を言うのよ」
「さあ、何でしょう」

 想はパソコンのモニターから目を離さない。
 目の端から可奈が消えた。と思ったら、隣に来ていた。

「水原さん?」
「……っ。水着を着なくていいように、協力してクダサイ」

 悔しそうな様が可愛い、なんて思ってしまう。

「水着で踊りたくないのは、寒いから、ですか?」
「そ、そうだよ。風邪ひいちゃったら、しばらく燈馬君のご飯も作れなくなるでしょ? そうなったら困るよね?」
「それなら、ヒーターで道場を暖めておいたらいいんじゃないですか? 春休みだったら、学校の備品も使ってないでしょうから充分な数が集まるでしょう」
「そうじゃなくて!」
「違うんですか?」

 座ったまま、可奈を見上げる。
「本当の理由を言ったら、衣装が制服になる方法を教えてあげます」

「~~~~~燈馬君のイジワルっ!」

 真っ赤になる可奈に少し笑って、想は次の言葉を待った。


□あとがき□
 某人気アイドルの曲をモチーフに。タイトルにスラッシュを入れるという暴挙(念のために、ね)。
 PV見るたびに「可奈ちゃんがいそうだ」と思ってしまう(笑)。

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