たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
41巻 「バルキアの特使」行間
- 2012/12/30 (Sun)
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トントン。
「はぁーい」
可奈が勢いよくドアを開けると、その先には心底呆れた顔をした想が立っていた。
「…水原さん。お願いですから不用意にドアを開けないでください。昼間、街を見たでしょう」
「だーいじょうぶ」
だって、という可奈の言葉が銃声にかき消された。
――そんなに遠くない。
「今までと同じに考えないでください。絶対に1人では行動しないように。――いいですね」
いつにない念の押しように、可奈は無言で頷く。
その様子を見て、想はようやく部屋へ入ってきた。
「僕の部屋は隣です。出かけるときも僕かアルが迎えに来ますから、それまで部屋を出ないでくださいね」
「わかったわかった」
「――で、警部は何と?」
「父さんは家にいなかった。母さんは『帰ってくる前にまた連絡しなさい』って」
「……どこにいるか、言いましたか?」
「もちろん。燈馬くんと一緒だってことも言ったよ。『あらまあ、気をつけて』だって」
娘が治安の悪い所にいるとわかれば当然、出てくる言葉だろう。
……そう思おう。
「学校には、明日、母さんが連絡してくれるって」
可奈はぼすん、と勢いよくベッドに腰掛けた。
「てかさ、ずるいよ。1人だけ学校休んで海外に来る予定だったなんて」
想は呆れながらも少し笑ってしまう。
可奈は決して鈍感な娘ではないが、コトが大きすぎて理解していないのかもしれない。
けれど、この屈託のなさには救われる。
「明日はオランダに行きますからね。朝食は7時にしましょう」
「え、それも迎えに来るの?」
「当然でしょう」
「もうめんどくさいな! ならいっそ、一緒の部屋の方が良かったんじゃない?」
「なっ……!」
実は、アルが急きょ取り直そうとした部屋はツインだった。
もちろん、想と可奈が「そういう仲」だと思ったからだ。
それを説得し、誤解を解いて2部屋取ってもらったというのに、あっさり何を言うのか。
ナイスアイディア、とでも言いたげな可奈に、想はこれ見よがしに大きなため息をついた。
「何よ」
「水原さんは幸せな人ですね」
「どーいう意味だよ」
「言葉どおりの意味です。
――くれぐれも言いつけは守ってくださいね。守れなければ強制送還です。
パスポートを持ってないことをお忘れなく」
「くっ……!」
「ではお休みなさい」
想はそれだけ言うと、可奈の部屋を出た。
――屈託がないのも問題だ。
□あとがき□
ええ、皆さん、思いましたよねぇ?(笑)
可奈ちゃん、パスポートと着替えはどうしたんだ?
(バルキアには入れても、オランダに入れるのか? そして帰りはどうするの??)
(あの治安状況で可奈ちゃんのような服が買えるのか?)
そして、学校では
「また可奈と燈馬君2人で海外だって」
「何回、婚前旅行するつもりだよ!」
「おいおい~、誰か学生の本分教えてやれよ!」
という会話がなされていることでしょう(笑)。
「はぁーい」
可奈が勢いよくドアを開けると、その先には心底呆れた顔をした想が立っていた。
「…水原さん。お願いですから不用意にドアを開けないでください。昼間、街を見たでしょう」
「だーいじょうぶ」
だって、という可奈の言葉が銃声にかき消された。
――そんなに遠くない。
「今までと同じに考えないでください。絶対に1人では行動しないように。――いいですね」
いつにない念の押しように、可奈は無言で頷く。
その様子を見て、想はようやく部屋へ入ってきた。
「僕の部屋は隣です。出かけるときも僕かアルが迎えに来ますから、それまで部屋を出ないでくださいね」
「わかったわかった」
「――で、警部は何と?」
「父さんは家にいなかった。母さんは『帰ってくる前にまた連絡しなさい』って」
「……どこにいるか、言いましたか?」
「もちろん。燈馬くんと一緒だってことも言ったよ。『あらまあ、気をつけて』だって」
娘が治安の悪い所にいるとわかれば当然、出てくる言葉だろう。
……そう思おう。
「学校には、明日、母さんが連絡してくれるって」
可奈はぼすん、と勢いよくベッドに腰掛けた。
「てかさ、ずるいよ。1人だけ学校休んで海外に来る予定だったなんて」
想は呆れながらも少し笑ってしまう。
可奈は決して鈍感な娘ではないが、コトが大きすぎて理解していないのかもしれない。
けれど、この屈託のなさには救われる。
「明日はオランダに行きますからね。朝食は7時にしましょう」
「え、それも迎えに来るの?」
「当然でしょう」
「もうめんどくさいな! ならいっそ、一緒の部屋の方が良かったんじゃない?」
「なっ……!」
実は、アルが急きょ取り直そうとした部屋はツインだった。
もちろん、想と可奈が「そういう仲」だと思ったからだ。
それを説得し、誤解を解いて2部屋取ってもらったというのに、あっさり何を言うのか。
ナイスアイディア、とでも言いたげな可奈に、想はこれ見よがしに大きなため息をついた。
「何よ」
「水原さんは幸せな人ですね」
「どーいう意味だよ」
「言葉どおりの意味です。
――くれぐれも言いつけは守ってくださいね。守れなければ強制送還です。
パスポートを持ってないことをお忘れなく」
「くっ……!」
「ではお休みなさい」
想はそれだけ言うと、可奈の部屋を出た。
――屈託がないのも問題だ。
□あとがき□
ええ、皆さん、思いましたよねぇ?(笑)
可奈ちゃん、パスポートと着替えはどうしたんだ?
(バルキアには入れても、オランダに入れるのか? そして帰りはどうするの??)
(あの治安状況で可奈ちゃんのような服が買えるのか?)
そして、学校では
「また可奈と燈馬君2人で海外だって」
「何回、婚前旅行するつもりだよ!」
「おいおい~、誰か学生の本分教えてやれよ!」
という会話がなされていることでしょう(笑)。
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