たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
初めての髪、初めての表情(かお)
- 2012/12/30 (Sun)
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可奈は今日も、放課後、想のマンションに立ち寄った。
想はパソコンの前、可奈は床に寝転んでマンガを読んでいた。
可奈がふと気配を感じて顔を上げると、想の視線とぶつかった。
「……何?」
何となくもそもそと起き上がり、思わず正座などしてしまう。
「髪」
「は?」
「髪に触ってもいいですか?」
……急に、何を言うんだろう。もしかして、聞き間違い?
気を取り直して、もう一度。
「ごめん、も一回。何?」
しかし可奈の期待に反して、想は同じ言葉を繰り返した。
「髪に触ってもいいですか?」
「なっ!? ななな、何で!?」
激しく動揺する可奈に反して、想のテンションは変わらない。
「キレイだなと思って。ダメですか?」
「だ、ダメってわけじゃないけど」
「じゃ、失礼して」
想が席を立って、可奈の隣に座る。
その手が、可奈の髪にそっと触れた。
「思ったよりも柔らかいんですね」
「そそ、そおお?」
自分の髪と想の手が、首筋をかすめてくすぐったい。
「……水原さん、いい匂いがしますね」
突然、髪がつん、と引っ張られたのでそちらを見ると、想が髪の先を唇に近づけようと……!
「ちょ……っ! 何やってんの!」
「何って、コロンじゃなさそうなので、何の匂いか確かめたかったのですが」
「そんなのつけてないよ! 多分、シャンプーだよ」
言いながら、髪を想の手から奪還した。
「もういいでしょ? お終い!」
対する想は、一瞬驚いた後、すぐに無表情になった。
「なんでですか? 僕はもういいなんて言ってません」
怒っているのがわかる。正直怖い……でも恥ずかしい!
「何ででも! もう終わり!」
「納得できません」
詰め寄られて顔が近い。
可奈は顔を背けながら「終わりったら終わり」を繰り返す。
けれど想も負けてはいない。納得のいく説明を求めてどんどん迫ってくる。
「恥ずかしいんだってば! もうやめてよぉ」
半ば押し倒された状態になって可奈が半泣きで訴えると、想の動きがぴたりと止まった。
我に返ったようだ。
「あ……、すみません、水原さん。大丈夫ですか?」
想が身を起こして、可奈に手を差し伸べる。
「燈馬君のばかっ」
可奈は想の手を振り払って自分で起き上がった。
「本当にすみませんでした。……泣かないでください」
「泣いてないっ」
「でも、ほら」
想がそっと可奈の目尻をなで、指についた雫を見せてきた。
~~~~この男はっ!
「泣いてるのなんか自分でわかってるよ! 泣いてないって言ったら見て見ぬふりしなさいよ、デリカシーなし男!」
「す、すみません」
想はびくりと手を引っ込め、可奈の目からは堪らず涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「でも……」
「何だよっ」
「泣き顔が可愛いので、見て見ぬふりはできません」
「だ……っ、黙れぇっ!」
――後はご想像どおり。
想は頬についた手形が3日は消えなかった。
□あとがき□
燈馬君はきっとこれで味をしめて、また可奈ちゃんを泣かせることでしょう。
今回は天然、次回からはきっと確信犯(笑)。
想はパソコンの前、可奈は床に寝転んでマンガを読んでいた。
可奈がふと気配を感じて顔を上げると、想の視線とぶつかった。
「……何?」
何となくもそもそと起き上がり、思わず正座などしてしまう。
「髪」
「は?」
「髪に触ってもいいですか?」
……急に、何を言うんだろう。もしかして、聞き間違い?
気を取り直して、もう一度。
「ごめん、も一回。何?」
しかし可奈の期待に反して、想は同じ言葉を繰り返した。
「髪に触ってもいいですか?」
「なっ!? ななな、何で!?」
激しく動揺する可奈に反して、想のテンションは変わらない。
「キレイだなと思って。ダメですか?」
「だ、ダメってわけじゃないけど」
「じゃ、失礼して」
想が席を立って、可奈の隣に座る。
その手が、可奈の髪にそっと触れた。
「思ったよりも柔らかいんですね」
「そそ、そおお?」
自分の髪と想の手が、首筋をかすめてくすぐったい。
「……水原さん、いい匂いがしますね」
突然、髪がつん、と引っ張られたのでそちらを見ると、想が髪の先を唇に近づけようと……!
「ちょ……っ! 何やってんの!」
「何って、コロンじゃなさそうなので、何の匂いか確かめたかったのですが」
「そんなのつけてないよ! 多分、シャンプーだよ」
言いながら、髪を想の手から奪還した。
「もういいでしょ? お終い!」
対する想は、一瞬驚いた後、すぐに無表情になった。
「なんでですか? 僕はもういいなんて言ってません」
怒っているのがわかる。正直怖い……でも恥ずかしい!
「何ででも! もう終わり!」
「納得できません」
詰め寄られて顔が近い。
可奈は顔を背けながら「終わりったら終わり」を繰り返す。
けれど想も負けてはいない。納得のいく説明を求めてどんどん迫ってくる。
「恥ずかしいんだってば! もうやめてよぉ」
半ば押し倒された状態になって可奈が半泣きで訴えると、想の動きがぴたりと止まった。
我に返ったようだ。
「あ……、すみません、水原さん。大丈夫ですか?」
想が身を起こして、可奈に手を差し伸べる。
「燈馬君のばかっ」
可奈は想の手を振り払って自分で起き上がった。
「本当にすみませんでした。……泣かないでください」
「泣いてないっ」
「でも、ほら」
想がそっと可奈の目尻をなで、指についた雫を見せてきた。
~~~~この男はっ!
「泣いてるのなんか自分でわかってるよ! 泣いてないって言ったら見て見ぬふりしなさいよ、デリカシーなし男!」
「す、すみません」
想はびくりと手を引っ込め、可奈の目からは堪らず涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「でも……」
「何だよっ」
「泣き顔が可愛いので、見て見ぬふりはできません」
「だ……っ、黙れぇっ!」
――後はご想像どおり。
想は頬についた手形が3日は消えなかった。
□あとがき□
燈馬君はきっとこれで味をしめて、また可奈ちゃんを泣かせることでしょう。
今回は天然、次回からはきっと確信犯(笑)。
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