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たちばな庵

二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。

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無意識の告白

「あれ、文乃さん、まだ勉強してるの?」

 風呂あがり、灯りのもれる和室の襖をそろっと開けると、文乃さんがまだ机に向かっていた。

「うん。キリがついたら、寝ようと思ってたとこ」
 なら良いけど、と言って背後から参考書を覗き込む。
「わからないところはない? って、数学じゃないですか……」
 参考書とノートに並ぶ数式。
 苦手分野だから手助けできないじゃないか。

「そりゃ、英語だけ勉強するわけにいかないじゃん。英語は、明日、図書館でやる予定」
「え?」

 ――明日、図書館?

「あれ、明日、図書館で勉強するって言ってなかったっけ?」
「――聞いてませんよ」
「ひゃっ」
 文乃さんをぎゅっと抱きしめると、可愛らしい声が上がる。
「ちょ……先生!?」

 明日は僕も1日家にいられるから、文乃さんと鉄兵くんと3人で「家族団欒」ができると思ってたのになー。
 
 最近、文乃さんは図書館に行くことが増えた。
 勉強を頑張ってくれてるのは嬉しいけど、気がかりなことも、ある。

「それは、翔馬と?」
「あ、うん。メグちゃんも一緒だけど。鉄兵も連れてくよ。……や……っ」

 どうしようもない焦燥感に襲われて、文乃さんのむき出しになった首筋に唇を這わせる。
 僕の腕から逃れようとするけれど、もちろんそんなことはさせない。

「先生? どうしたの?」
 文乃さんの声を無視して、耳元で囁いた。

「翔馬の方が良くなっちゃった……?」

「………………は? なっ、何言ってんの!?」

 文乃さんはばっとこちらを振り返ると、少し辛そうな顔になった。
 あれ、と思っている間に両手が伸びてきて、ふわりと僕を抱きしめる。

「あたしが好きなのは、先生だけだよ」

 ――!

「うん……ありがとう。ごめん、ちょっと弱気になった」
「何で先生が弱気になるのよ。あたしの方がこんなに好きなのに。だいたい、翔馬くんの方もあたしなんか眼中にないって。――何?」

 文乃さんはまだ翔馬の気持ちに気づいてないのか……。
 翔馬はライバルだけれど、何か少し可哀想かも。

 けど。
 敵に塩を送ることなんかもちろんしない。
 文乃さんに関して、兄弟も何もあるもんか!

「今の、もう1回言ってください?」
「え? 翔馬くんの方もあたしのことは眼中にない?」
「違ーう。その前」
「その前って――あっ」
「はい、もう1回♪」
「い、言わないよっ」
「えー、残念だなぁ」

 でも、そうだね。

「僕の方が、ずーっと文乃さんのこと好きですからねっ」
「ばっ、ばかっ」

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