たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
6巻 別居後(智くん家からの帰宅)
- 2012/12/30 (Sun)
- キス早 |
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智くんの家から帰って、先生と一緒に暮らす日常が戻ってきた。
先生の作った夕飯を食べて、先生が食器を洗ってくれている――私だって手伝いたいけど、1回に1枚はお皿を割って逆に迷惑をかけてしまうから。
私の代わりに鉄兵が先生を手伝っている。
そういえば、と思って、流しに立つ先生の背中に声をかけた。
「先生、明日って、缶ゴミの日だっけ」
缶なんてそうそう溜まらないから、ゴミに出すのは月に1度もないくらい。
けれど一応確認しておこうと、ゴミカレンダーを見ながら、缶用のゴミ箱の蓋に手をかけた。
そしたら先生が、慌てたようにこっちにやってきた。
「文乃さん、ストップ! いいよ、僕が後で見とくから」
「何言ってんの。できることぐらいやらないと、申し訳ない――あれ?」
ゴミ箱の中には、溢れんばかりに缶が捨ててあった。
――何でこんなに?
よく見ると、ビールばかり。
龍せんせいとか熊猫の先生とかとごくたまーに飲んだりしているけど、私たちの前では飲まないのに。
先生は真っ赤な顔で、驚く私の手から蓋を取り上げて少し乱暴に閉めた。
「先生、もしかして、お酒好きなの?」
意外に思いながら聞くと、先生はいきなり私を抱きしめた。
「――寂しかったんだ」
「え?」
「君たちといると、酒を飲もうなんて気は起きないんだ。けど、君たちが智之さんのところに行っている間は、夜がとても長くて――寒くて、耐えられなかった」
先生……。
「あ、でも! トモエさんに特訓をお願いしてからは飲んでませんよ!」
ぷぷっ。
先生は大人なんだから、お酒を飲んだって言い訳なんてしなくていいのに。
腕の中でくすくす笑うと、先生の手が顎にかけられた。
「何を笑っているんです?」
「な……何でもありません……」
「そうそう。帰ってきたら『大好き』って言ってくれる約束でしたね? はい、どうぞ」
「ど、どうぞって何! あの日に言ったじゃんっ」
「そうでしたっけ?」
「しらばっくれるな!」
「覚えてないです」
「ぜーったい嘘だ!」
先生がどんどん顔を近づけてくるから、私は必死で押し返す。
「照れ屋な奥さんですねえ。じゃあ、こうしましょう。ほっぺにキスしてくれるのと、どっちか選ばせてあげます」
「どっちかって……! キスだって、あの日、おでこにしたでしょ! ――あっ」
先生の目が見開かれて、私は口を押さえた。
――そうだ。
キスのことは、先生は本当に知らないんだった。
先生はにやりと笑って、再び顔を近づけてくる。
「おやあ? それは全く記憶にありませんねえ。記憶にないのはしなかったのと同じ。さ、もう1度お願いします」
「や、やだっ」
「頑張ったのに、ご褒美なしですか? ひどいなあ」
「だからもうしたって……」
「――全然足りない」
先生の腕に力がこもった。
「先生?」
「君たちは帰ってきたのに、まだ実感が涌かない。こうして抱きしめても、朝目が覚めたら、またいなくなってるんじゃないかって――」
先生、震えてる――?
私は先生にぎゅっと抱きついた。
「あたしたちはちゃんといるよ。――ほら、感じて?」
感じて。
私の熱。私の鼓動。私の吐息――。
「うん……」
――私たちが帰ってこられたのは、先生があんなに頑張ってくれたおかげ。
もう、どこにも行かないよ。
だから、先生もずっとそばにいてね――?
□あとがき□
文乃さんと電話しているとき、先生がビールを飲んでるのにちょっと驚きました。
ってことで書いたネタです。
(1巻「若奥様の攻め下着」のときに飲んでいるのはジュースだと思いたい)
沖奈和での「ガチガチになってた」発言にはつながらないよなーとも思いましたが、せっかく書いたのでアップ。
大目に見てやってください。
先生の作った夕飯を食べて、先生が食器を洗ってくれている――私だって手伝いたいけど、1回に1枚はお皿を割って逆に迷惑をかけてしまうから。
私の代わりに鉄兵が先生を手伝っている。
そういえば、と思って、流しに立つ先生の背中に声をかけた。
「先生、明日って、缶ゴミの日だっけ」
缶なんてそうそう溜まらないから、ゴミに出すのは月に1度もないくらい。
けれど一応確認しておこうと、ゴミカレンダーを見ながら、缶用のゴミ箱の蓋に手をかけた。
そしたら先生が、慌てたようにこっちにやってきた。
「文乃さん、ストップ! いいよ、僕が後で見とくから」
「何言ってんの。できることぐらいやらないと、申し訳ない――あれ?」
ゴミ箱の中には、溢れんばかりに缶が捨ててあった。
――何でこんなに?
よく見ると、ビールばかり。
龍せんせいとか熊猫の先生とかとごくたまーに飲んだりしているけど、私たちの前では飲まないのに。
先生は真っ赤な顔で、驚く私の手から蓋を取り上げて少し乱暴に閉めた。
「先生、もしかして、お酒好きなの?」
意外に思いながら聞くと、先生はいきなり私を抱きしめた。
「――寂しかったんだ」
「え?」
「君たちといると、酒を飲もうなんて気は起きないんだ。けど、君たちが智之さんのところに行っている間は、夜がとても長くて――寒くて、耐えられなかった」
先生……。
「あ、でも! トモエさんに特訓をお願いしてからは飲んでませんよ!」
ぷぷっ。
先生は大人なんだから、お酒を飲んだって言い訳なんてしなくていいのに。
腕の中でくすくす笑うと、先生の手が顎にかけられた。
「何を笑っているんです?」
「な……何でもありません……」
「そうそう。帰ってきたら『大好き』って言ってくれる約束でしたね? はい、どうぞ」
「ど、どうぞって何! あの日に言ったじゃんっ」
「そうでしたっけ?」
「しらばっくれるな!」
「覚えてないです」
「ぜーったい嘘だ!」
先生がどんどん顔を近づけてくるから、私は必死で押し返す。
「照れ屋な奥さんですねえ。じゃあ、こうしましょう。ほっぺにキスしてくれるのと、どっちか選ばせてあげます」
「どっちかって……! キスだって、あの日、おでこにしたでしょ! ――あっ」
先生の目が見開かれて、私は口を押さえた。
――そうだ。
キスのことは、先生は本当に知らないんだった。
先生はにやりと笑って、再び顔を近づけてくる。
「おやあ? それは全く記憶にありませんねえ。記憶にないのはしなかったのと同じ。さ、もう1度お願いします」
「や、やだっ」
「頑張ったのに、ご褒美なしですか? ひどいなあ」
「だからもうしたって……」
「――全然足りない」
先生の腕に力がこもった。
「先生?」
「君たちは帰ってきたのに、まだ実感が涌かない。こうして抱きしめても、朝目が覚めたら、またいなくなってるんじゃないかって――」
先生、震えてる――?
私は先生にぎゅっと抱きついた。
「あたしたちはちゃんといるよ。――ほら、感じて?」
感じて。
私の熱。私の鼓動。私の吐息――。
「うん……」
――私たちが帰ってこられたのは、先生があんなに頑張ってくれたおかげ。
もう、どこにも行かないよ。
だから、先生もずっとそばにいてね――?
□あとがき□
文乃さんと電話しているとき、先生がビールを飲んでるのにちょっと驚きました。
ってことで書いたネタです。
(1巻「若奥様の攻め下着」のときに飲んでいるのはジュースだと思いたい)
沖奈和での「ガチガチになってた」発言にはつながらないよなーとも思いましたが、せっかく書いたのでアップ。
大目に見てやってください。
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