たちばな庵
二次創作メインのブログです。 男女CPオンリー。 ご注意ください。
【ドラマ外妄想】どこが好き?
- 2012/12/30 (Sun)
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「水原さん」
想は咎めるように可奈を呼んだ。
可奈がわからないと言うから想のマンションで公式の解き方を説明しているのに、可奈はテキストに無関心で、じっと想の顔を見ている。
「さっきから何ですか。僕の顔を見ているだけじゃ、答えはわかりませんよ」
想が深いため息をつくと、可奈が視線はそのままに「ねえ」と口を開いた。
「燈馬君も、やっぱり胸が大きい方が好みなの?」
「……は?」
想は目を瞬かせた。
一体何の脈絡で、と言いかけて、ああ、と思い当たる。
今日の休み時間、クラスの男子何人かが、誰かの持ってきた雑誌に集まっていた。
刺激的な水着姿のアイドルが掲載されていたらしく、半ばひったくるように雑誌が読みまわされ、ずいぶん盛り上がっていた。
が。
想は参加していないし興味もない。
「男が全員、胸に関心があるわけではありませんよ。女性だって、男の好きな部位は人それぞれでしょう?」
「じゃあ、燈馬君は胸はどうでもいいの? 女の子のどんなところが好きなの?」
ずいっ、と身を乗り出してくる。
想は反射的に身を引きながら、顔が熱くなるのを感じた。
――この人は。
自分がどんな状況で何を言っているのかわかっているのだろうか?
可奈は安堵したような不安なような微妙な色を目に浮かべている。
想は眩暈を抑えるように、額に手をやった。
――自覚がないからタチが悪い。
「秘密です」
「えーっ、何でよ! ずるい!」
「何もずるくないです。じゃあ、こうしましょう。水原さんが教えてくれたら僕も答えます」
「ええー……」
「それならおあいこです」
「だって、そんなのわかんないもん。男の子のどこかとか、気にしたことないし」
「では、僕もわかりません」
「嘘だ。私が答えたら教えてくれるって言ったじゃん」
「でも水原さんは答えられないんでしょう?」
「う……」
「さ、おしゃべりはお終いです。この問題をやってみてください」
想はそう言って、指先で軽くテキストを叩いた。
可奈に自分で解く時間を与えて、想は自問する。
――女性の、どこに目がいくか――?
今まで、あまり女性を「異性」として見たことがなかったのかもしれない、と気づく。
ロキがよく女性談義をしていたが、「そういうものなのか」とどこか遠いところの話のように感じていた。
改めて考えてみると、思い浮かぶのは、
太陽のような笑顔とか、
くるくる動く大きな瞳とか、
ポニーテールが揺れるたびにちらりと見えるうなじとか……
そこまで考えて、ぼっと赤面した。
思い浮かぶのは、全て可奈の笑顔、瞳、そしてうなじ。
想は脳裏の映像を消そうと、勢いよく左右に首を振った。
「……燈馬君? どうしたの?」
可奈の不審げな声がする。
想は慌てて「何でもありません」と答えた。
「できましたか?」
「全然」
集中集中。
想は自分に言い聞かせて、可奈ができないと訴える問題に目を向けた。
想は咎めるように可奈を呼んだ。
可奈がわからないと言うから想のマンションで公式の解き方を説明しているのに、可奈はテキストに無関心で、じっと想の顔を見ている。
「さっきから何ですか。僕の顔を見ているだけじゃ、答えはわかりませんよ」
想が深いため息をつくと、可奈が視線はそのままに「ねえ」と口を開いた。
「燈馬君も、やっぱり胸が大きい方が好みなの?」
「……は?」
想は目を瞬かせた。
一体何の脈絡で、と言いかけて、ああ、と思い当たる。
今日の休み時間、クラスの男子何人かが、誰かの持ってきた雑誌に集まっていた。
刺激的な水着姿のアイドルが掲載されていたらしく、半ばひったくるように雑誌が読みまわされ、ずいぶん盛り上がっていた。
が。
想は参加していないし興味もない。
「男が全員、胸に関心があるわけではありませんよ。女性だって、男の好きな部位は人それぞれでしょう?」
「じゃあ、燈馬君は胸はどうでもいいの? 女の子のどんなところが好きなの?」
ずいっ、と身を乗り出してくる。
想は反射的に身を引きながら、顔が熱くなるのを感じた。
――この人は。
自分がどんな状況で何を言っているのかわかっているのだろうか?
可奈は安堵したような不安なような微妙な色を目に浮かべている。
想は眩暈を抑えるように、額に手をやった。
――自覚がないからタチが悪い。
「秘密です」
「えーっ、何でよ! ずるい!」
「何もずるくないです。じゃあ、こうしましょう。水原さんが教えてくれたら僕も答えます」
「ええー……」
「それならおあいこです」
「だって、そんなのわかんないもん。男の子のどこかとか、気にしたことないし」
「では、僕もわかりません」
「嘘だ。私が答えたら教えてくれるって言ったじゃん」
「でも水原さんは答えられないんでしょう?」
「う……」
「さ、おしゃべりはお終いです。この問題をやってみてください」
想はそう言って、指先で軽くテキストを叩いた。
可奈に自分で解く時間を与えて、想は自問する。
――女性の、どこに目がいくか――?
今まで、あまり女性を「異性」として見たことがなかったのかもしれない、と気づく。
ロキがよく女性談義をしていたが、「そういうものなのか」とどこか遠いところの話のように感じていた。
改めて考えてみると、思い浮かぶのは、
太陽のような笑顔とか、
くるくる動く大きな瞳とか、
ポニーテールが揺れるたびにちらりと見えるうなじとか……
そこまで考えて、ぼっと赤面した。
思い浮かぶのは、全て可奈の笑顔、瞳、そしてうなじ。
想は脳裏の映像を消そうと、勢いよく左右に首を振った。
「……燈馬君? どうしたの?」
可奈の不審げな声がする。
想は慌てて「何でもありません」と答えた。
「できましたか?」
「全然」
集中集中。
想は自分に言い聞かせて、可奈ができないと訴える問題に目を向けた。
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【10話妄想】2
- 2012/12/30 (Sun)
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……。
…………。
………………。
……扉の向こうで声がする。
1人暮らしのこのマンションで、誰かがいるわけがないのに――。
一応、「高級」の部類に入るマンションだ。
隣や廊下の声が聞こえるような部屋ではない。
なのに、なぜ――?
想はまぶたを上げた。
いつもより重く感じるのは気のせいだろうか。
うっすら目を開けるとドアが開き、薄暗かった部屋に光が差し込むのが見えた。
「あ、燈馬君、目が覚めた?」
「水原さん?」
可奈がドアの隙間から顔を出す――なぜ、可奈がいるのだろう?
起き上がろうとすると、可奈が駆け寄ってきた。
「ダメだよ、急に起きちゃ。燈馬君、倒れたんだよ。覚えてない?」
「倒れた――」
そうだ、放課後、この部屋で可奈に勉強を教えていて――帰る可奈を送るために立ち上がろうとしてからの記憶がない。
そのときに倒れたのだろう。
「そうですか。――ところで、水原さんはなぜここに?」
「目の前で倒れられて、放っとけるわけないじゃん! 勝手に悪いとは思ったけど、目が覚めるまで泊まらせてもらってたよ」
「泊まらせて……?」
可奈の言葉に驚いて部屋を見てみると、寝室の片隅に見慣れない布団が畳んであってギョッとする。
「警部には何て言ってあるんですか!?」
対する可奈はきょとんとする。
「何てって、『燈馬君が倒れたから、看病する』って言ったよ。休まずに学校行くなら泊まってもいいって。この布団もお父さんに運んでもらったんだよ。燈馬君の家、客用布団なさそうだし」
……。
あまりの放任主義に、想は絶句する。
想の様子など全く意に介さず、可奈は呑気なものだ。
「燈馬君、お腹空いてない? 3日間も眠ってたんだよ。お粥かうどんでも作ろうか」
……3日?
「しまった! ロキにメールしないと……!」
再度、起き上がろうとした想を制したのは、可奈とは別の声だった。
「俺ならここにいるぜ」
「ロキ!」
「過労と睡眠不足だってな。連絡が来ないから来てみれば、お前は!」
「ちょっとちょっとロキさん!」
怒鳴るロキを、可奈が慌てて止める。
「燈馬君は目が覚めたばかりなんだから。……話が見えないんだけど、燈馬君が倒れたのとロキさんと、何か関係があるの?」
2人を交互に見る可奈に、想が目を伏せたまま話始めた。
「……MITでのプロジェクト、最初の予定どおり、僕も参加してるんです」
「えっ?」
「後任が見つかるまで、という約束なんですが、なかなか適任者がいないみたいで……」
「当たり前だろ」
ロキの口調は荒いままだ。
「お前レベルの人材がそうそういるわけないだろ。もっと自分の価値を自覚しろ!」
「……」
「ボストンとの時差が13時間。ちょうど昼夜逆転だな。夜に研究して、昼間は行かなくていい学校か? そんな片手間にできるプロジェクトじゃないってわかってるだろ。挙句の果てに倒れてんじゃねえよ」
「……ごめん」
「ロキさん、落ち着いてってば」
「元はといえば、お前のせいだろうが」
「私?」
ロキの矛先が可奈へ向く。
「こいつは完全にアメリカに帰ってくるつもりでいたんだ。住む部屋を契約して荷物も全部送って。それをお前が」
「それは違う」
想がロキを遮った。
「水原さんは、アメリカに帰っても頑張れって言ってくれた。自分で日本に残ると決めたんだ。水原さんは関係ない」
「燈馬君……」
想は、可奈の視線を感じながらロキを真っ直ぐ見つめた。
視線を外したのは、ロキの方だった。
「あーあ、やってらんねえよ」
「ロキ?」
「帰るわ。俺だって仕事山積みなんだよ」
「帰るって」
突然の言葉に、想と可奈は唖然とする。
ロキは想に近づき、人差し指を立てた。
「お前の心配するのは水原だけじゃないんだぞ。教授だって、あの年で日本に来るって聞かなかったんだからな」
「……」
思わぬ言葉に、想は口をつぐむ。
うな垂れる想を見て、ロキはため息をついた。
「燈馬はオンナにウツツを抜かして日本から出られなくなりました、って教授には言っとくよ」
「ロキ!」
大声を出す想を見て、ロキは笑う。
「冗談だよ。けど、お前はもっと自分を大切にしろ。わかったな」
「うん……ごめん。ありがとう」
「じゃあな。――水原、燈馬の監督頼むな」
「あ、うん」
思わず頷いた可奈を見て、ロキは出て行った。
「びっくりした~」
可奈はまだドアを見ている。
「そうですね」
想が頷くと、可奈の厳しい視線が向けられた。
「ロキさんだけじゃないよ、燈馬君にもびっくりだよ! 大変なら大変って何で言わないの! 知ってたら、宿題手伝ってとか言わなかったのに!」
「すみません……」
「謝るだけじゃダメだよ。ロキさんからも頼まれちゃったし、今度からはちゃんと言ってね。
――さ、そうと決まればご飯にしよう。お粥とうどん、どっちがいい?」
「では、お言葉に甘えてお粥をお願いします」
「はいはい」
可奈が寝室を出て行く。
想はベッドに倒れ込み、息を吐いた。
――甘かった、と思う。
体力に自信があるわけではなかったが、まさか倒れるなんて思ってもみなかった。
たくさんの人に迷惑と、そして「心配」をかけた。
ロキや教授の顔、そして今後のこと――いろんなことに頭を巡らせていると、いい匂いがしてきた。
「燈馬君、できたよ」
寝室のドアが開き、可奈が土鍋の載った盆を持って入ってくる。
「熱いから気をつけてね」
「はい」
想は起き上がり、盆ごとお粥を受け取った。
――とりあえず、食べて休んで。
今後のことはそれから考えよう。
「いただきます」
想は手を合わせ、土鍋の蓋を取った。
□あとがき□
最終話後。
アメリカ行きをドタキャンしたって、プロジェクトまでやめるわけにはいかなかったんじゃないか、という妄想。
1日メールが来ないからってわざわざアメリカから駆けつけたロキ……燈馬君のこと、大好きだな(笑)。
ボストンとの時差は本来14時間だそうですが、3月からサマータイムに入るのでこの時点では13時間の時差になる、はずです。
……しかし、3月から「サマータイム」って……ボストンて、まだまだ寒いんじゃないのか?(汗)
…………。
………………。
……扉の向こうで声がする。
1人暮らしのこのマンションで、誰かがいるわけがないのに――。
一応、「高級」の部類に入るマンションだ。
隣や廊下の声が聞こえるような部屋ではない。
なのに、なぜ――?
想はまぶたを上げた。
いつもより重く感じるのは気のせいだろうか。
うっすら目を開けるとドアが開き、薄暗かった部屋に光が差し込むのが見えた。
「あ、燈馬君、目が覚めた?」
「水原さん?」
可奈がドアの隙間から顔を出す――なぜ、可奈がいるのだろう?
起き上がろうとすると、可奈が駆け寄ってきた。
「ダメだよ、急に起きちゃ。燈馬君、倒れたんだよ。覚えてない?」
「倒れた――」
そうだ、放課後、この部屋で可奈に勉強を教えていて――帰る可奈を送るために立ち上がろうとしてからの記憶がない。
そのときに倒れたのだろう。
「そうですか。――ところで、水原さんはなぜここに?」
「目の前で倒れられて、放っとけるわけないじゃん! 勝手に悪いとは思ったけど、目が覚めるまで泊まらせてもらってたよ」
「泊まらせて……?」
可奈の言葉に驚いて部屋を見てみると、寝室の片隅に見慣れない布団が畳んであってギョッとする。
「警部には何て言ってあるんですか!?」
対する可奈はきょとんとする。
「何てって、『燈馬君が倒れたから、看病する』って言ったよ。休まずに学校行くなら泊まってもいいって。この布団もお父さんに運んでもらったんだよ。燈馬君の家、客用布団なさそうだし」
……。
あまりの放任主義に、想は絶句する。
想の様子など全く意に介さず、可奈は呑気なものだ。
「燈馬君、お腹空いてない? 3日間も眠ってたんだよ。お粥かうどんでも作ろうか」
……3日?
「しまった! ロキにメールしないと……!」
再度、起き上がろうとした想を制したのは、可奈とは別の声だった。
「俺ならここにいるぜ」
「ロキ!」
「過労と睡眠不足だってな。連絡が来ないから来てみれば、お前は!」
「ちょっとちょっとロキさん!」
怒鳴るロキを、可奈が慌てて止める。
「燈馬君は目が覚めたばかりなんだから。……話が見えないんだけど、燈馬君が倒れたのとロキさんと、何か関係があるの?」
2人を交互に見る可奈に、想が目を伏せたまま話始めた。
「……MITでのプロジェクト、最初の予定どおり、僕も参加してるんです」
「えっ?」
「後任が見つかるまで、という約束なんですが、なかなか適任者がいないみたいで……」
「当たり前だろ」
ロキの口調は荒いままだ。
「お前レベルの人材がそうそういるわけないだろ。もっと自分の価値を自覚しろ!」
「……」
「ボストンとの時差が13時間。ちょうど昼夜逆転だな。夜に研究して、昼間は行かなくていい学校か? そんな片手間にできるプロジェクトじゃないってわかってるだろ。挙句の果てに倒れてんじゃねえよ」
「……ごめん」
「ロキさん、落ち着いてってば」
「元はといえば、お前のせいだろうが」
「私?」
ロキの矛先が可奈へ向く。
「こいつは完全にアメリカに帰ってくるつもりでいたんだ。住む部屋を契約して荷物も全部送って。それをお前が」
「それは違う」
想がロキを遮った。
「水原さんは、アメリカに帰っても頑張れって言ってくれた。自分で日本に残ると決めたんだ。水原さんは関係ない」
「燈馬君……」
想は、可奈の視線を感じながらロキを真っ直ぐ見つめた。
視線を外したのは、ロキの方だった。
「あーあ、やってらんねえよ」
「ロキ?」
「帰るわ。俺だって仕事山積みなんだよ」
「帰るって」
突然の言葉に、想と可奈は唖然とする。
ロキは想に近づき、人差し指を立てた。
「お前の心配するのは水原だけじゃないんだぞ。教授だって、あの年で日本に来るって聞かなかったんだからな」
「……」
思わぬ言葉に、想は口をつぐむ。
うな垂れる想を見て、ロキはため息をついた。
「燈馬はオンナにウツツを抜かして日本から出られなくなりました、って教授には言っとくよ」
「ロキ!」
大声を出す想を見て、ロキは笑う。
「冗談だよ。けど、お前はもっと自分を大切にしろ。わかったな」
「うん……ごめん。ありがとう」
「じゃあな。――水原、燈馬の監督頼むな」
「あ、うん」
思わず頷いた可奈を見て、ロキは出て行った。
「びっくりした~」
可奈はまだドアを見ている。
「そうですね」
想が頷くと、可奈の厳しい視線が向けられた。
「ロキさんだけじゃないよ、燈馬君にもびっくりだよ! 大変なら大変って何で言わないの! 知ってたら、宿題手伝ってとか言わなかったのに!」
「すみません……」
「謝るだけじゃダメだよ。ロキさんからも頼まれちゃったし、今度からはちゃんと言ってね。
――さ、そうと決まればご飯にしよう。お粥とうどん、どっちがいい?」
「では、お言葉に甘えてお粥をお願いします」
「はいはい」
可奈が寝室を出て行く。
想はベッドに倒れ込み、息を吐いた。
――甘かった、と思う。
体力に自信があるわけではなかったが、まさか倒れるなんて思ってもみなかった。
たくさんの人に迷惑と、そして「心配」をかけた。
ロキや教授の顔、そして今後のこと――いろんなことに頭を巡らせていると、いい匂いがしてきた。
「燈馬君、できたよ」
寝室のドアが開き、可奈が土鍋の載った盆を持って入ってくる。
「熱いから気をつけてね」
「はい」
想は起き上がり、盆ごとお粥を受け取った。
――とりあえず、食べて休んで。
今後のことはそれから考えよう。
「いただきます」
想は手を合わせ、土鍋の蓋を取った。
□あとがき□
最終話後。
アメリカ行きをドタキャンしたって、プロジェクトまでやめるわけにはいかなかったんじゃないか、という妄想。
1日メールが来ないからってわざわざアメリカから駆けつけたロキ……燈馬君のこと、大好きだな(笑)。
ボストンとの時差は本来14時間だそうですが、3月からサマータイムに入るのでこの時点では13時間の時差になる、はずです。
……しかし、3月から「サマータイム」って……ボストンて、まだまだ寒いんじゃないのか?(汗)
【10話妄想】1
- 2012/12/30 (Sun)
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アメリカ行きをやめて日本に残ることに決めて。
想は再び咲坂高校への編入手続きを取った。
担任はやはり迷惑だったのか……何も言わなかったが、「何を考えているのかわからない」といった表情が見てとれた。
想は苦笑しながら担任に頭を下げた。
職員室を出ると、教室へ向かった。
可奈が、春休み返上で補習を受けているのだ。
「燈馬君、手続き終わった?」
「はい。水原さんも終わりですか?」
「うん。はーっ、でもまた帰ったら宿題だー。何で春休みに勉強しなきゃなんないのよーっ」
「それは自業自得では」
「うるさいっ」
そんな会話をしながら帰途につく。
「宿題、1人でできるんですか?」
「できない。宿題も空白とか×ばっかだから、毎日課題増えてるし」
「言ってくれれば教えるのに」
「いや、いい」
「昨日もそう言ってたでしょう。夜中までかかったんじゃないですか? 今日はさらに量が増えて、徹夜の覚悟ですか?」
「う……」
「さ、そうと決まれば、どこでやりましょう。うちに来ますか?」
「それはダメ」
可奈の即答に、想は首をひねる。
「じゃあ、水原さんの家でやりましょうか」
「それもダメ。今日は父さん遅いし」
じゃあ……と言いかけたとき、可奈の頭に桜の花びらがひっかかった。
それを取ろうと髪に手を伸ばすと、可奈がびくりと身を引いた。
「あ……ごめん」
可奈の目が泳いでいる。
それを見て、想は納得した。
――可奈は、緊張しているのだ。
想は目標をわずかに変え、可奈の頬に触れた。
可奈が小さく震えている。
想は、その頬を思いっきり引っ張った。
「いひゃい! 何ふんのよ!」
「何を怖がってるんですか? 水原さんの方が腕っ節強いのに」
「ちょっと! それ、どういう意味よ!」
可奈が怒って腕を振り払う。
「例え僕が水原さんに襲い掛かったとしても返り討ちに合うだろう、という意味です。そんな真似はしません。まだ命が惜しいですから」
想は言いたいことだけ言うと歩き始めた。
想のマンションでも、可奈の家の方向でもない。
「どこ行くの?」
「ファミレスです。水原さんのおごりですよ」
「えぇーっ!」
「嫌ならどちらかの家しかありませんね」
「……わかった」
しぶしぶ、といった体で、あとをついてくる。
いつもと逆だ。
想はおや、と思う。
――これは少し、楽しいかもしれない。
歩きながら、こともなげに言ってみた。
「まあ、その気になったら言ってきてください。いつでも歓迎しますよ」
「えっ?」
「僕も、男ですから」
「なっ…」
絶句する可奈に、想は笑ってみせた。
□あとがき□
10話の冒頭シーン。
「可奈ちゃんがテストで赤点取って追試を受ける」ということになってましたよね。
燈馬君がアメリカに帰っちゃうってなって、勉強が手につくわけがない。
追試も赤点だったに違いない。
可奈ちゃんはきっと手をつないだりするのに時間かかるんだろうな(自分からはしょっちゅう手をつかむのに・笑)、で、燈馬君はそれを慈しむ瞳で見つめながら待つんだろうなー。
けど、燈馬君も男子だしねえ。
…という妄想でした。
想は再び咲坂高校への編入手続きを取った。
担任はやはり迷惑だったのか……何も言わなかったが、「何を考えているのかわからない」といった表情が見てとれた。
想は苦笑しながら担任に頭を下げた。
職員室を出ると、教室へ向かった。
可奈が、春休み返上で補習を受けているのだ。
「燈馬君、手続き終わった?」
「はい。水原さんも終わりですか?」
「うん。はーっ、でもまた帰ったら宿題だー。何で春休みに勉強しなきゃなんないのよーっ」
「それは自業自得では」
「うるさいっ」
そんな会話をしながら帰途につく。
「宿題、1人でできるんですか?」
「できない。宿題も空白とか×ばっかだから、毎日課題増えてるし」
「言ってくれれば教えるのに」
「いや、いい」
「昨日もそう言ってたでしょう。夜中までかかったんじゃないですか? 今日はさらに量が増えて、徹夜の覚悟ですか?」
「う……」
「さ、そうと決まれば、どこでやりましょう。うちに来ますか?」
「それはダメ」
可奈の即答に、想は首をひねる。
「じゃあ、水原さんの家でやりましょうか」
「それもダメ。今日は父さん遅いし」
じゃあ……と言いかけたとき、可奈の頭に桜の花びらがひっかかった。
それを取ろうと髪に手を伸ばすと、可奈がびくりと身を引いた。
「あ……ごめん」
可奈の目が泳いでいる。
それを見て、想は納得した。
――可奈は、緊張しているのだ。
想は目標をわずかに変え、可奈の頬に触れた。
可奈が小さく震えている。
想は、その頬を思いっきり引っ張った。
「いひゃい! 何ふんのよ!」
「何を怖がってるんですか? 水原さんの方が腕っ節強いのに」
「ちょっと! それ、どういう意味よ!」
可奈が怒って腕を振り払う。
「例え僕が水原さんに襲い掛かったとしても返り討ちに合うだろう、という意味です。そんな真似はしません。まだ命が惜しいですから」
想は言いたいことだけ言うと歩き始めた。
想のマンションでも、可奈の家の方向でもない。
「どこ行くの?」
「ファミレスです。水原さんのおごりですよ」
「えぇーっ!」
「嫌ならどちらかの家しかありませんね」
「……わかった」
しぶしぶ、といった体で、あとをついてくる。
いつもと逆だ。
想はおや、と思う。
――これは少し、楽しいかもしれない。
歩きながら、こともなげに言ってみた。
「まあ、その気になったら言ってきてください。いつでも歓迎しますよ」
「えっ?」
「僕も、男ですから」
「なっ…」
絶句する可奈に、想は笑ってみせた。
□あとがき□
10話の冒頭シーン。
「可奈ちゃんがテストで赤点取って追試を受ける」ということになってましたよね。
燈馬君がアメリカに帰っちゃうってなって、勉強が手につくわけがない。
追試も赤点だったに違いない。
可奈ちゃんはきっと手をつないだりするのに時間かかるんだろうな(自分からはしょっちゅう手をつかむのに・笑)、で、燈馬君はそれを慈しむ瞳で見つめながら待つんだろうなー。
けど、燈馬君も男子だしねえ。
…という妄想でした。
【9話妄想】1
- 2012/12/30 (Sun)
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悪いのは金丸。
それはわかってる。
けど、ヤツの言うとおり、私が辛島君や新田君のことを忘れていたのも事実だ。
はーっ。
とっても大事なものくれたのに。なんでこんなにバカなんだろう?
目頭がじんわりと熱くなる。
けど、泣いちゃだめだ。
泣く権利なんて、ない。
まばたきと共に落ちる涙――目を見開いて我慢していると、いきなり目の前が壁にふさがれた。
いや、この感触って……ええぇぇっ!?
「と、燈馬君……?」
顔を上げると、いつもよりも、燈馬君の顔が近い。
……これってやっぱり……抱きしめられちゃってるって状況だよね、勘違いじゃないよね!?
燈馬君は私のパニックをよそに、親指で目尻を拭ってくる。
「昔と同じ水原さんでいてくれてありがとうって、きっと、そう思ってますよ。僕はそう思います」
燈馬君の笑顔を見たら、涙がボロボロとこぼれてきて止まらなくなった。
どれくらいそうしていたのか――気がついたら、燈馬君の鼓動を全身で感じていた。
――あー、気持ちいー……。
「落ち着きましたか?」
「え? あっ! ごごごごゴメンっ!」
声をかけられて、我に返った。
あちゃー、燈馬君の上着、明らかに色が変わってる部分が……。
「上着、濡らしちゃったね。ゴメン」
「すぐに乾きます。気にしないでください」
燈馬君は私から離れて、カバンを手に取った。
「じゃあ、帰りますね」
「何で! まだいいじゃん」
「いえ、そろそろ警部も帰るでしょうし」
「父さん? 今日は夜勤だから帰らないよ」
「そ……れは、ますます、失礼します」
「何? 父さんに用事があったの?」
「違います。とにかく、今日は帰ります」
んー? 急に燈馬君の挙動が不審。どうしたんだろ?
「また明日」
……そうだね。まあいっか。明日も会えるもんね。
「うん。玄関まで送るよ」
「ありがとうございます」
門まで燈馬君を送りながら、まだお礼を言ってなかったことを思い出した。
「いろいろありがとね」
「いえ」
「じゃ、また明日。学校でね」
「はい。お邪魔しました」
燈馬君は、一礼して帰っていく。
「カシャ」
手でファインダーを作って、口でシャッターを切った。
空(くう)に切り取った後姿を、大事に胸にしまい込む。
――一生、忘れることのないように。
□あとがき□
燈馬君のマンションから可奈ちゃん家に行くことが増えたのは、燈馬君が2人きりでいることに自信がなくなったんじゃないか!? という妄想から。
ドラマのセリフはうろ覚えです(いつもか)。
それはわかってる。
けど、ヤツの言うとおり、私が辛島君や新田君のことを忘れていたのも事実だ。
はーっ。
とっても大事なものくれたのに。なんでこんなにバカなんだろう?
目頭がじんわりと熱くなる。
けど、泣いちゃだめだ。
泣く権利なんて、ない。
まばたきと共に落ちる涙――目を見開いて我慢していると、いきなり目の前が壁にふさがれた。
いや、この感触って……ええぇぇっ!?
「と、燈馬君……?」
顔を上げると、いつもよりも、燈馬君の顔が近い。
……これってやっぱり……抱きしめられちゃってるって状況だよね、勘違いじゃないよね!?
燈馬君は私のパニックをよそに、親指で目尻を拭ってくる。
「昔と同じ水原さんでいてくれてありがとうって、きっと、そう思ってますよ。僕はそう思います」
燈馬君の笑顔を見たら、涙がボロボロとこぼれてきて止まらなくなった。
どれくらいそうしていたのか――気がついたら、燈馬君の鼓動を全身で感じていた。
――あー、気持ちいー……。
「落ち着きましたか?」
「え? あっ! ごごごごゴメンっ!」
声をかけられて、我に返った。
あちゃー、燈馬君の上着、明らかに色が変わってる部分が……。
「上着、濡らしちゃったね。ゴメン」
「すぐに乾きます。気にしないでください」
燈馬君は私から離れて、カバンを手に取った。
「じゃあ、帰りますね」
「何で! まだいいじゃん」
「いえ、そろそろ警部も帰るでしょうし」
「父さん? 今日は夜勤だから帰らないよ」
「そ……れは、ますます、失礼します」
「何? 父さんに用事があったの?」
「違います。とにかく、今日は帰ります」
んー? 急に燈馬君の挙動が不審。どうしたんだろ?
「また明日」
……そうだね。まあいっか。明日も会えるもんね。
「うん。玄関まで送るよ」
「ありがとうございます」
門まで燈馬君を送りながら、まだお礼を言ってなかったことを思い出した。
「いろいろありがとね」
「いえ」
「じゃ、また明日。学校でね」
「はい。お邪魔しました」
燈馬君は、一礼して帰っていく。
「カシャ」
手でファインダーを作って、口でシャッターを切った。
空(くう)に切り取った後姿を、大事に胸にしまい込む。
――一生、忘れることのないように。
□あとがき□
燈馬君のマンションから可奈ちゃん家に行くことが増えたのは、燈馬君が2人きりでいることに自信がなくなったんじゃないか!? という妄想から。
ドラマのセリフはうろ覚えです(いつもか)。
【8話妄想】1
- 2012/12/30 (Sun)
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「んーっ、美味しかった♪ すみませーんっ」
可奈は、最近すっかり行きつけとなった喫茶店でいつものパフェを食べていた。
ぺろりと1つめをたいらげ、すぐにおかわりを注文する。
向かいに座る想は、店に入ったときに注文したコーヒーを飲んでいた。
まだ半分しか減っておらず、冷めてもいない。
その小さい体のどこに入るのか、燈馬は不思議な気持ちで可奈を見ていた。
「お待たせ致しました」
ほどなくして、新しいパフェが運ばれてくる。
可奈は再びスプーンを手にし、嬉しそうに2つめのパフェを口に運ぶ。
「……私の顔に、何かついてる?」
視線を感じて、可奈が想を見る。
「いえ、何も。頬の辺りが、少しふっくらしてきましたね」
――かしゃん。
可奈がスプーンを置いた。いや、落とした?
「水原さん? どうしました?」
「どうしたじゃないよ! 普通、女の子にそういうこと言う!?
しかもパフェ食べてる最中に! 信じらんない」
どうやら怒らせてしまったらしい。
が、想には何を怒っているのかわからない。
「何か悪いことを言いましたか?」
「悪いに決まってるでしょ! せっかく美味しくパフェ食べてたのに、食べる気失せちゃったじゃない」
「何でですか?」
「何でじゃないでしょ、女の子が『太った』って言われて笑ってパフェ食べられるわけないでしょー!」
「太ってるなんて、一言も言ってませんよ」
「言ったよ!」
「言ってません。『ふっくらしてきた』と言ったんです」
「同じだよ」
「違いますよ」
可奈が信じられない、といった目で想を睨む。
「まさか水原さん、自分が太ってるなんて思ってないですよね」
対する想は目を見開いた。
「まあ……一応、標準だとは思うけどさ、でもあと2~3kgくらいしぼりたい」
「何言ってるんですか。今だってやせすぎなのに」
「気休めはいいよ」
「気休めじゃありません。どうして女性はそんなにやせぎすになりたいんでしょうね。ぽっちゃりしている方が魅力的なのに」
想が理解できない、という顔をすると、可奈が上目遣いに睨んでくる。
「ホントにぃ?」
「本当ですよ。好みですから個人差があるでしょうけど、僕はそう思います」
ようやく可奈がにっこり笑った。
「燈馬君がそう言うならいいや。気兼ねなく食べようっと」
再びスプーンを取った可奈に、想も笑う。
「ぜひそうして下さい。怒らせてしまったお詫びに、次のおかわりは僕がごちそうしましょう」
「ホント? やったあ♪ すみませーんっ」
□あとがき□
無自覚バカップル(笑)。
可奈は、最近すっかり行きつけとなった喫茶店でいつものパフェを食べていた。
ぺろりと1つめをたいらげ、すぐにおかわりを注文する。
向かいに座る想は、店に入ったときに注文したコーヒーを飲んでいた。
まだ半分しか減っておらず、冷めてもいない。
その小さい体のどこに入るのか、燈馬は不思議な気持ちで可奈を見ていた。
「お待たせ致しました」
ほどなくして、新しいパフェが運ばれてくる。
可奈は再びスプーンを手にし、嬉しそうに2つめのパフェを口に運ぶ。
「……私の顔に、何かついてる?」
視線を感じて、可奈が想を見る。
「いえ、何も。頬の辺りが、少しふっくらしてきましたね」
――かしゃん。
可奈がスプーンを置いた。いや、落とした?
「水原さん? どうしました?」
「どうしたじゃないよ! 普通、女の子にそういうこと言う!?
しかもパフェ食べてる最中に! 信じらんない」
どうやら怒らせてしまったらしい。
が、想には何を怒っているのかわからない。
「何か悪いことを言いましたか?」
「悪いに決まってるでしょ! せっかく美味しくパフェ食べてたのに、食べる気失せちゃったじゃない」
「何でですか?」
「何でじゃないでしょ、女の子が『太った』って言われて笑ってパフェ食べられるわけないでしょー!」
「太ってるなんて、一言も言ってませんよ」
「言ったよ!」
「言ってません。『ふっくらしてきた』と言ったんです」
「同じだよ」
「違いますよ」
可奈が信じられない、といった目で想を睨む。
「まさか水原さん、自分が太ってるなんて思ってないですよね」
対する想は目を見開いた。
「まあ……一応、標準だとは思うけどさ、でもあと2~3kgくらいしぼりたい」
「何言ってるんですか。今だってやせすぎなのに」
「気休めはいいよ」
「気休めじゃありません。どうして女性はそんなにやせぎすになりたいんでしょうね。ぽっちゃりしている方が魅力的なのに」
想が理解できない、という顔をすると、可奈が上目遣いに睨んでくる。
「ホントにぃ?」
「本当ですよ。好みですから個人差があるでしょうけど、僕はそう思います」
ようやく可奈がにっこり笑った。
「燈馬君がそう言うならいいや。気兼ねなく食べようっと」
再びスプーンを取った可奈に、想も笑う。
「ぜひそうして下さい。怒らせてしまったお詫びに、次のおかわりは僕がごちそうしましょう」
「ホント? やったあ♪ すみませーんっ」
□あとがき□
無自覚バカップル(笑)。
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